住民デモ規模拡大 高架鉄道建設に反対 ファトマワティ通り
都市高速鉄道(MRT)の第1期工事区間で高架鉄道建設予定地の南ジャカルタのファトマワティ通りで3日、立ち退きや騒音を懸念する地元の商店主や住民が建設反対デモを実施した。3日にジョコウィ知事がMRT建設開始を宣言したことを受け、「高架鉄道反対、地下鉄賛成」を掲げるデモ隊は約600人に膨れ上がった。
ファトマワティ通りは、MRTの第1期工事区間の南ジャカルタ・ルバックブルスからブロックMを結び、この区間は高架鉄道となる。
デモには伝統市場もある同通りの商店主らが参加。午後1時ごろからファトマワティ通りを行進し、ブロックMを経由、ルバックブルスまで練り歩いた。
デモ主催者の1人、チプテ市場入居者協同組合のアスナウィさん(49)は、反対理由として①街路樹撤去で景観が悪化する②車幅拡大で歩道がなくなり、ワルン(屋台)やカキリマ(移動式屋台)の営業場所が確保できなくなる③高架下に不法居住者が集まり、治安悪化につながる④騒音で高齢者や子どもの生活に影響が出る―を挙げる。
建設を急ぐジョコウィ知事については「実業家たちの圧力で高架鉄道建設を急いでいるのではないか。話し合いにも積極的な姿勢を見せず、住民のことを考えているとは思えない」と不満を漏らす。
大学生のデリル・イマナジェさん(19)は「友達と4人で建設反対の署名運動を始め、4日間で100人近くになった。住民全員が反対している」。ファトマワティ通りに35年住む建築家のヌガディランさん(55)は「環境調査もなく、事業に関する周知も不十分だ」と話した。(赤井俊文、写真も)