首都に労働者13万人 平穏にメーデー 福祉向上など訴え

 メーデーの5月1日、ジャカルタ、スラバヤなど全国各地で労働者によるデモや集会があり、デモ隊は最低賃金の引き上げや福祉向上などを政府に求めた。近年、労使紛争が先鋭化し、高速道路を占拠するなどの事態となっていたが、1日のデモはおおむね平穏だった。

 ジャカルタでは午前9時までに、ブカシ、タンゲラン、デポックなど首都近郊の工業団地などからのデモ隊がホテル・インドネシア(HI)前ロータリーに集結。同11時ごろから、大統領宮殿や国会、憲法裁判所などに向け行進を開始した。通りの両側を占拠するほどの大群がタムリン、スディルマン両通りを埋め尽くした。
 インドネシア労働組合総連合(KSPI)、全インドネシア労働組合総連合(KSPSI)、インドネシア福祉労働組合総連合(KSBSI)の三つの労働組合中央連合組織で構成されるMPBI(労働者評議会)など首都圏労組の要求は賃金引き上げを含めた福祉向上の早期実現など労働環境の充実に当てられた。労組連合は、?燃料補助金の削減反対?医療保険の2014年1月からの導入(1)最低賃金の支払い延期拒否や、最賃策定基準の適正生活経費(KHL)を算出する品目数を現在の60から84に増やすこと(2)派遣労働の廃止(3)労組団体の活動を脅かす恐れがある市民団体法案の廃止?メーデーを国民の祝日とすること―を訴えた。
 インドネシア労働組合連盟(KPSI)のサイド・イクバル会長は午後3時ごろ、大統領宮殿前で演説。ユドヨノ大統領が労組団体の代表者を招き懇談した上で、来年から5月1日を祝日とすることを決めたことを評価した。
 一方、特に医療保険制度について「インドネシアで多くの子どもが十分な医療を受けられずに死んでいるのに、大統領の孫に生まれただけで待遇が異なる。このような不平等は許してはならない」と話し、全要求が実現しない場合、8月16日に全国でストライキを起こすと警告した。
 主催団体の発表によると、ジャカルタのデモには約13万人が参加し、大統領宮殿を8万人が取り囲んだ。警察は2万5千人を動員。スディルマン、タムリン通りは郊外からのデモ参加者のバスに埋め尽くされ、一部区間が閉鎖となった。トランスジャカルタの第1路線も夕方まで運行を取り止めるなど、オフィス街の交通に大きな影響が出た。全国各都市でも労働者によるデモがあったが大きな混乱は起きなかった。
 デモ参加者でカラワンのワイヤーメーカーで働くアモル・マルフさん(25)はデモについて「やっぱり最低賃金の引き上げを急いでほしい。安い給料で働きたくないし生活ができない」と話した。最近の労働運動が政治利用される傾向にあることについては「労働者の権利獲得のためには仕方ない面がある。イクバル氏はスハルト時代に人権を抑圧してきた過去を持つプラボウォ氏(グリンドラ党最高顧問会議議長)に接近していると言われているが、労働者の権利を守るという信念を持っていれば取り込まれることはないと信じたい」と語った。
 ブカシから来たリナさん(50)は「子どもが2人いるから、最低賃金の引き上げは切実。燃料補助金の削減なんてもってのほかだ」と政府への怒りを露にした。(赤井俊文)

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祭典楽しむ労働者 環境改善求める声 (2013年05月02日)

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