保守系イスラム「中止を」 9月西ジャワのミス・ワールド 水着コンテストに猛反発
水着コンテストなどがある世界的な美女コンテスト「ミス・ワールド」の最終選考が9月に西ジャワ州ボゴール県で予定されていることに、保守系イスラム団体がイスラムの教義に沿わないとして、ムスリムが大多数を占めるインドネシア国内での開催に反対している。
地元メディアによると、イスラム知識人会議(MUI)東ジャワ州支部は開催を中止させるようユドヨノ大統領に要求。アブドゥソマド・ブホリ支部長は28日、「インドネシアはムスリムの国」と持論を展開し、実施されれば暴力的な抗議が起きかねないとほのめかした。
選考では世界中の美女が知性や体力のほか、水着姿で美しさを競い合う。MUIボゴール支部のムクリ・アジ支部長は「女性が体の隠すべき部分をさらけ出すのは、ムスリムの宗教規範に反する」と批判する。
MUIのイスラム・シーア派を異端とする宗教見解(ファトワ)が出された東ジャワ州マドゥラ島では昨年、同派とスンニ派が衝突し、死者が出た。保守的なMUIの一般ムスリムへの影響力は不透明だが、強硬派は違法な活動を正当化するための口実に利用してきた。
美女コンテストをめぐっては2007年、同年のミス・ユニバース森理世さんが西ジャワ州バンドン市を訪れようとしたが、イスラム強硬派団体は「シャリア(イスラム法)への挑戦」などと猛抗議。森さんの同市訪問を取りやめさせた。
インドネシア初開催になるミス・ワールドの選考は8月からジャカルタやバリで始まる。最終選考は9月28日、ボゴール県の多目的施設スントゥール・インターナショナル・コンベンション・センターで開かれる。
反米デモなどを起こしてきたイスラム団体ヒズブット・タフリル(HTI)はミス・ワールドのコンテストに反対し、開催された場合は大規模なデモをボゴールで起こす構えを見せている。
昨年6月に予定されていた米女性歌手レディー・ガガさんのジャカルタ公演にも、強硬派がポルノ的要素があるとして反対。主催者と政府が交渉する中、警察は「治安維持に責任が持てない」とさじを投げた。西ジャワ州政府はミス・ワールド開催に前向きな姿勢を示しており、今後の対応に注目が集まりそうだ。