地場中堅銀の株取得か 40%出資で筆頭株主に 三井住友銀
三井住友銀行が、地場系中堅銀行の国家年金貯蓄銀行(BTPN)の株式40%を取得する方向で交渉を進めていると、28日までに複数メディアが報じた。全国に広範な支店網を持つ地場銀行に出資し、リテール分野の成長を取り込む考え。インドネシアの銀行界では近年、当局の外資規制が厳しくなっており、今後の動向に注目が集まりそうだ。
取得金額は12〜18億ドルの見通しで、実現すれば邦銀のインドネシア銀買収案件としては過去最大の規模になる。BTPNの株式57.9%を保有(昨年3月時点)する米大手投資ファンドのTPGから買い取り、筆頭株主になる計画。一部報道によると、来月中の基本合意を目指している。インドネシア中銀の許可を得た上で、正式に株を取得できる。
BTPNは、1958年に退役軍人有志による年金貯蓄組織として西ジャワ州バンドンで設立され、86年に現在の名称となった。2008年にジャカルタ証券取引所(当時、現在インドネシア証券取引所)に上場。同年にTPGが71.6%の株式を取得した。
昨年末時点で融資残高39兆ルピアで16位。国内250都市に1140の支店、6万9100のATM(現金自動預払機)を持つ。BTPNに対しては、三菱東京UFJ銀行も情報収集を進め、株式取得に関心を示していた。
■銀行再編進むか
東南アジア域内でみても金融セクターの成長率が高いインドネシアには、近隣諸国の銀行から熱い視線が注がれ、参入や事業拡大が相次いでいる。これまで周辺国と比べ外資規制が緩かったが、外銀の支店に対し現地法人化の義務付けを検討するなど、インドネシア中銀は最近、規制強化の方針を打ち出している。
シンガポールDBSグループがダナモン銀行の買収の方針を表明した後の昨年7月、中銀は単独株主の銀行への出資上限を原則40%に設定した。協議は1年以上続いているが、正式な許可はいまだに発効されていない。
一方、国際競争力を高め事業拡大基盤を強化するため、中銀は地場銀による買収を歓迎する方針を示している。(田村慎也)