「MRTは地下に」「高架鉄道は断固反対」 横断幕で住民抗議 南ジャカルタ・ブロックA
深刻化するジャカルタの渋滞対策の切り札として期待されるMRT(大量高速交通システム)の着工が目前に迫っている。第1期建設計画の用地である南ジャカルタ・ファトマワティ通りのブロックA市場周辺では「MRTは賛成、高架鉄道は反対」の横断幕が張られ、立ち退きや騒音、商売への影響を恐れる商店主ら住民が州政府への抗議運動を展開している。
ファトマワティ通り沿いの家電小売店前に横断幕を張り出したのは店主のヘルマンさん(55)。ここで82年前から代々店を営んできた。「MRT自体は渋滞緩和などのメリットがあるから賛成だけど、高架鉄道建設は商売に影響が出る」と語気を強める。
伝統市場のほか、タイルやペンキ、照明器具、トイレ、洗面台など住宅資材の商店が並ぶ地域として発展してきたが、近年は自動車ディーラーや飲食店など多種多様な業種も進出。同通りで骨董商を開業したばかりのアグス・フシンさん(42)は「これからという時に騒がしい高架鉄道建設は勘弁してほしい」と話す。
住民は昨年以降、高架鉄道建設反対デモを展開。今月15日には約200人が中央ジャカルタの州庁舎を訪れ、ジョコ・ウィドド・ジャカルタ特別州知事との面会を求めた。これまで知事に公聴会で直訴してきたが、知事が現場に来て問題解決への誠意を示すべきだと訴える。
住民代表グループのウィスム・ワルヨさん(67)は「高架鉄道が建設されたら、朝の5時から夜の12時まで電車の騒音で、特に子どもやお年寄りの睡眠などに影響が出る。ファトマワティ通りは混乱に陥る」と断固反対していく構えだ。
MRTの第1期建設計画では、南ジャカルタのルバックブルスから、チプテ、ブロックA、ブロックM、シシンガマンガラジャ通りまでが高架部分。アル・アズハル大前付近から中央ジャカルタ・ホテル・インドネシア(HI)前ロータリーまでが地下鉄となる。(赤井俊文、写真も)