補助金軽油が不足 低割当量が問題に 「社会不安の懸念も」
プレミウム(レギュラーガソリン)の補助金削減に向けた動きが進む中、ガソリンスタンドで販売される補助金付き軽油が供給不足となっている。国営石油・ガス会社プルタミナは23日から供給量を増やし、事態の早期収拾を図っているが、公共輸送バスや漁船が運行や出港を取り止めるなどの影響が出ている。
不足の原因となっているのは、国家予算に沿って定められた補助金付き軽油の割当量。今年の割当は、昨年実績である1556万キロリットルの8.3%減となる1428万キロリットルとなっており、需要増に追いつかず、不足を招く事態となった。
地元紙によると、深刻なのは中部・東ジャワやカリマンタン、スマトラ島南部など。今週初めから各地のガソリンスタンドで行列が目立つようになった。
中部ジャワ州カランアニェールやトゥマングンでは25日、バス運転手がストを起こし、軽油の確保を要求した。普段給油するガソリンスタンドで軽油が売り切れていたため、運行途中で燃料切れとなるバスもあったという。
1リットル4500ルピアの補助金付き軽油は、産業向けのほか、今年から大規模農園や鉱業用運搬車、公用車による使用が禁止された。国際価格に連動する形の非補助金軽油の価格は、産業向けで2倍近くになる8千ルピア台で推移。給油所では、補助金対象外の高級軽油「プルタミナDEX」があるが、価格は1万ルピア以上し、取り扱う給油所もまだ限定的だ。補助金付き軽油を大量購入し、横流しするケースもあるとみられ、軽油不足に拍車をかけている。
国会第7委員会(エネルギー・鉱物資源、科学技術、環境)のロフィ・ムナワル議員は「漁師は海に出ることができず、農民はもみすりができず、生活必需品の流通にも障害が出ている」と述べ、この状態が続けば社会不安を引き起こすことになると懸念を示した。
プルタミナ側は、割当を上回る供給は自社の損失となるため、割当量を日割りにした一定量の拠出にとどめていたが、政府の要請を受け、供給量を通常の30%増に引き上げた。特に深刻だった東ジャワ州トゥバンやバニュワンギ向けには、普段の2倍の量を供給しているという。
カレン・アグスティアワン社長は26日、「27日の朝には問題は解決するだろう」との見方を表明。補助金割当量と予測需要量が大きくかい離しているのが、軽油不足の一番の原因としている。(上野太郎)