警察の問題児、収監拒否 法を手玉に政党も支援 ススノ元刑事局長 KPK対立の中心人物

 2009年以降、独立捜査機関・汚職撲滅委員会(KPK)と対立して解任された後、一転して同僚の警察官の不正告発を展開した「警察の問題児」ススノ・ドゥアジ元国家警察刑事局長が、今度は検察に抵抗する騒ぎを起こしている。昨年11月、不正事件の上告審で実刑判決が確定したにもかかわらず、収監を拒否。最近入党したイスラム政党や元閣僚らの援護を受けながら政治問題化させている。

 検察は24日朝、西ジャワ州バンドンの高級住宅地ダゴ・パカール・リゾートにあるススノ被告の自宅を訪れ、収監しようとしたが、被告は家の鍵を閉めて収監を拒否。先月入党したイスラム政党・月星党(PBB)の自警団や警官隊が自宅前に集結し、検察を追い払う騒ぎになった。
 同日夜、被告は自宅から古巣の西ジャワ州警察本部へ出向いて保護を求め、検察に抵抗。25日には独立機関・事件被害者・証言者保護委員会(LPSK)に保護を要請した。
 ススノ被告はPBB幹部からの支援も得ている。故スハルト元大統領のスピーチライターやメガワティ、ユドヨノ両政権で法務人権相、国家官房長官などを歴任した有力政治家、ユスリル・イフザ・マヘンドラ氏が弁護団を組織した。
 弁護団は「最高裁は検察と被告双方の上告を棄却しており、身柄拘束は命じていない」と主張。判決文の不備などを挙げ、検察の判決解釈に応じる必要はないと反発している。ススノ被告は来年の総選挙で同党から出馬する予定で、検察に政治的圧力を掛ける構えだ。
 国家警察は、被告自宅への警官隊派遣について「検察を妨害する意図はなく、混乱回避のためだった」と釈明した。
 一連の騒動について、ジョコ・スヤント政治・法務・治安担当調整相は「最高裁の判決を尊重してほしい。他の法解釈は不要だ」と強調。アキル・モフタル憲法裁判所長官も「下級審判決を支持した上告審で刑は確定した」と弁護団の主張を退けている。

◇「ワニ対ヤモリ」 不正暴露はトーンダウン

 ススノ被告は09年から10年にかけ、KPKと警察の対立を引き起こした中心人物。地元誌のインタビューで警察をワニに、KPKをヤモリに例え、警察のごう慢さを示したと話題になった。汚職事件の捜査で被疑者と結託し、KPK副委員長2人が賄賂を受け取ったと疑惑をねつ造し、国家警察に出頭させたが、KPKを支持する各種団体による大規模な抗議運動が起こり、解任に追い込まれた。閑職に回された報復として、一転して同僚や部下の警察官の収賄疑惑を次々と暴露し、一定の支持を集めたが、秘書が交通事故死するなどして鳴りを潜めた経緯がある。

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