【火焔樹】 お掃除クラブ1年を迎えて
お掃除クラブが29日で1年を迎える。昨年の私のコラムを見て多くの人が初回の活動から集まってくれた。しかし、どうやってインドネシアの人たちを啓蒙していこうか、試行錯誤が続いた。
考えてみれば、日本も高度成長期には、物が市場にあふれていくのと同時に、ごみも街中にあふれかえっていった。私が小さいときは、まだまだポイ捨てをする人が多く、何を隠そうこの私もところ構わずポイポイとごみを捨てていたものだ。
人目につかない山道などには粗大ゴミが捨てられ、行楽地や高速道路が出来たてのころの休日の休憩所では、ごみ箱がごみであふれかえっていたのを覚えている。極めつけは有害物質を海や川に捨て、ヘドロが溜まり、病気を引き起こし、公害被害があちこちで問題になったことだろう。
こんな状況をどうやって抜け出してきたのか。一つは、多くの日本人が先進国と呼ばれる国々の街の様子や人々の振る舞いに触れ、自分たちが作り出した状況に対して、人として本来あるべき姿に「自ら気が付いていったこと」が大きいと思う。インドネシアの一部も経済発展の真っ只中、過去の日本と全く同じことを繰り返している。
しかし、いくら口うるさく注意しても「罪悪感を感じない人に罪を押し付ける」ことほど無意味なことはなく、自らが気付くように仕向けていく他に方法はないと、過去の自分の行為や日本の姿を省みて思う。
インドネシア人、日本人に関わらず、インドネシアに住んでいる人として、自らの責任においてごみを拾うことで、一人でも多くの人の心に「気づき(kesadaran)」が生まれてくれれば、本望である。
黙々とごみを拾うだけの地道な活動ですが、ご興味のある方はご一報ください。(ジャカルタお掃除クラブ代表・芦田洸、メールts_ashida@yahoo.co.jp)