貧困対策を拡充 燃料補助金政策の影響で 月内確定来月実施へ コメ、教育、現金給付

 政府は燃料補助金削減案を月内に確定し来月にも実施する方向で調整している。一方、最有力案の私用車限定燃料値上げに伴う物価上昇を考慮し、従来の貧困者支援プログラムを拡充。40兆〜50兆ルピアを新たに投じて、貧困層への影響を抑制する。一時的に財政負担が増える可能性が高いが、スハルト政権からの懸案である構造的問題の解消に道筋をつけたい考えだ。

 23日に副大統領官邸であった閣僚会合後の記者会見で、ハッタ・ラジャサ経済担当調整相は、(1)低所得者へのコメ助成「ラスキン」(2)低所得世帯補助金(PKH)(3)低所得学生補助金(BSM)―の3政策を拡充する考えを示した。自家用車を保有する中間・富裕層が燃料補助金の恩恵の大部分を享受していたとして、削減分を低所得者層に振り分けると説明している。
 ラスキンでは、政府がキロ当たり約6千ルピアを助成し、貧困層1550万世帯を対象にキロ1600ルピアのコメを月15キロまで販売する。実施期間をこれまでの1年から16カ月まで伸ばし、1世帯当たりの給付割当量を拡大。食料調達公社(ブロッグ)は備蓄量240万トンを確保した。 
 PKHは学齢期の子どもを持つ低所得世帯に現金を給付する制度。全国の貧困地域にある273郡にそれぞれ30億ルピアを拠出する計画で、担当閣僚のアグン・ラクソノ公共福祉担当調整相らによると、毎月の給付日を前倒しすることで、生活への影響軽減を図る。
 低所得世帯の小中高生の学資を援助するBSMでは、受給対象者をこれまでの900万人から1550万人に引き上げる。1回の助成額も引き上げる方針で、適切な金額の算定作業を進めている。
 これまでの支援プログラムは給付が遅れたり、受給対象でない世帯に給付されたりすることも多く、悪用を防ぐため、政府は、電子住民登録証(eKTP)を活用する考え。ガマワン・ファウジ内務相は17歳以上の国民1億8千万人のうち未発行の3割に対して発行を急ぐとした。
 ジェロ・ワチック・エネルギー鉱物資源相は先に、燃料値上げで削減される補助金額は21兆ルピアほどとの見通しを示している。対策予算が40兆〜50兆ルピアに上るため、貧困支援策の拡充は一時的に歳出が膨らむ見通しが高く、財源は国債発行で確保する方針。今年の国債発行で得る公債金が153兆ルピアから200兆ルピアに増え、財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は1.65%から2.40%に上昇する試算だ。
 アニー・ラトマワティ大蔵副大臣は、今回の対策は今年の予算に組み込まれているため、現段階で補正予算を国会に提出する必要はないと説明。ただし「費用が膨張する場合は、補正予算を国会で審議することになる」という。昨年3月、補正予算審議で連立与党が造反し、燃料値上げがとん挫した経緯があり、選挙前の国会が大衆迎合の色合いが強い貧困対策を認めない可能性がある。
 エネルギー鉱物資源省によると、今年の補助金燃料消費量は、昨年の4520万キロリットルを超過し、4850万キロリットルに達する可能性がある。国内の原油生産は頭打ちで、増大を続ける石油輸入が貿易赤字拡大の一因になっている。
 政府は今週末か来週初めにも新政策を発表する方向で調整を続けている。ユドヨノ大統領は22日、新政策を5月に実施すると明らかにした。だが23日の会見で、ハッタ調整相は政策はまだ決定過程にあるとしており、すでに今年だけで2回先延ばしされた期限が再び延期されることも懸念される。(吉田拓史)

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