関税引き下げ環境品目 パーム油盛り込みは「留意」 生産・輸出世界一のイ
APEC議長国を務めるインドネシアは今回の貿易相会合で、前年9月のAPEC首脳会合(ロシア・ウラジオストク)で加盟国・地域が2015年までに関税を5%以下に引き下げることで合意していた、太陽光パネルなど54品目の環境品目リストに、天然ゴムやパーム油を追加するよう提案したが、各国の賛同を得られず、閣僚共同声明では「提案に留意する」との表現にとどまった。
インドネシアは世界全体のパーム油の半分以上を生産する世界最大の輸出国。2011年には生産量約2千万トンのうち、7割が中国やインド、西欧諸国など向けに輸出された。近年はバイオ燃料の原料としての需要も高まっており、増産を進めている。品目は工業製品が中心で、インドネシアのギタ・ウィルヤワン商業相は「インドネシアは何も持っていない」として意欲を示していた。
ただ、現行目標を決めたウラジオストク会合では、途上国が自国産業育成を理由に反発したことや得意分野に差があるため、どの品目を盛り込むかで調整が難航。とりまとめた閣僚会合は終了予定時間を2時間延長した末に、再生可能エネルギー関連器機や発電機の部品、環境関連の計測器などでまとまった経緯がある。
わずか7カ月しか経っていない今会合での強引なインドネシアの提案に、支持は広がらなかった。声明ではウラジオストクで決めた目標の確実な実施を確認した上で「天然ゴムとパーム油を品目に加えたいとするインドネシアの提案に留意する」とした。 (道下健弘)