「権威主義の王様だ」 「汚職捜査で陥れた」 アナス氏が大統領批判
18日付英字紙ジャカルタ・ポストはアナス・ウルバニングルム前党首のインタビュー記事を掲載した。汚職疑惑の容疑者に断定され、民主党党首を辞任したアナス氏は、大統領が汚職撲滅委員会(KPK)に影響力を行使し、政敵の自分を汚職捜査で陥れたと批判した。
アナス氏は1年前、アブリザル・バクリー・ゴルカル党党首から携帯電話のメールで「ナス(アナスの愛称)、気をつけろ。(マハティール首相の第一の側近だったが、やがて対立し汚職と同性愛で訴追された)アンワル・イブラヒムのようになってはいけないぞ」と警告を受けた。送信時刻がバクリー氏がユドヨノ大統領と会談した直後だったと分かったという。
2011年の民主党北スラウェシ州支部の支部長選挙では、ユドヨノ大統領の指名候補を当選させるよう求められたが、別意見の州支部の対抗馬が勝ったという。「第一に、あなたは明らかに忠誠心を見せなかった。第二に、ただ私の処罰を待っていなさい」というメールを受けた。
「大統領はアナス氏から汚職疑惑で保護を求められたと語った」との記者に質問に対し、アナス氏は「『保護』という表現は正しくない」とし、「(民主党最高顧問の)ユドヨノ大統領にKPKに介入し、私の事案を操るのを止めてほしいと求めた。大統領に非常に近い人物で、KPKに特別な意思疎通を図れる人物がいると感じていた」と暴露した。
その人物が大統領自身である可能性があるかとの質問には「分からないが、自然に起きることではない。党内政治の激動に絡む事件と関係がある」と含みを持たせた。2月22日の容疑者断定の2週間前に、アナスの捜査を指示する文書がアブラハム・サマッドKPK委員長の秘書からメディアに漏えいしたことには「KPK委員長のブラックベリーを押収し、調査する必要がある」と語った。
ユドヨノ大統領が無投票でアナス氏の後任に就いたことをめぐっては「民主党の民主主義はスカルノ初代大統領の(実質的には権威主義の)『指導される民主主義』だ。ユドヨノ氏はこの種の民主主義の王様だ」と痛烈に批判。党大会前に有力対抗馬マルズキ・アリー国会議長の出馬を威かくした大統領の一斉送信メールでも「競争精神は一つのメッセージがかき消した」と語った。