高校生110万人に影響 11州で統一卒業試験遅延 教育相の責任問題へ

 高校3年生対象の全国統一卒業試験(UN)(15〜18日)が試験問題の遅配で、全国33州のうち遠隔地の11州で延期された問題をめぐり、印刷事業を統括したムハンマド・ヌー教育文化相の責任を問う声が高まっている。ユドヨノ大統領は空軍に支援を指示し、問題用紙を遠隔地へ緊急輸送した。11州の高校生約110万人は18日、3日遅れで試験を開始する見込みだ。

 試験が遅れたのは、スラウェシ島やカリマンタン島の各州、バリ州、東、西ヌサトゥンガラ両州など11州で、3601のSMA(高校)と1508のSMK(職業訓練校)の生徒約110万人。
 遅配が広域に及び、事態を重く見たユドヨノ大統領は16日、ヌー教育文化相や国軍司令官、国家警察長官と協議し、空軍機を投入し、各州の県レベルまで試験問題を緊急輸送するよう指示。調査チームを設置し、原因を究明するよう命じた。
 空軍は軍用輸送機ハーキュリーズ4機、フォッカー、ボーイング737各1機を用意。ヌー教育文化相は17日、すでに問題用紙は各地に輸送されたと発表し、18日の最終日は他州と一緒に実施できるだろうとの見方を示した。15〜17日の遅れた科目は19日以降に実施するとした。
 ヌー教育文化相は「遅配は印刷会社の不備が原因」と釈明。試験問題の印刷事業を受注した印刷会社6社のうち、遅れが出たのはガリア・インドネシア・プリンティング(GIP、西ジャワ州ボゴール)の1社のみだったと強調した。同社の印刷工場を視察後した同相は「印刷は終わり、輸送車も待機していたが、包装に手間取っていた」と説明した。
 非政府組織(NGO)「予算透明性フォーラム」(FITRA)は印刷事業を問題視。受注した6社のうちGIP社だけ、高額で落札するなど不審な点があるとして、汚職撲滅委員会(KPK)に告発した。同社は遅延の理由について「500人増員するつもりが、65人しか集まらなかったため」としている。
 110万人に影響が出た騒動をめぐり、ヌー氏の責任を問う声も出ている。輸入牛肉汚職事件への関与が疑われているススウォノ農相(福祉正義党)とともに、内閣改造で解任される閣僚の一人になる可能性もあるとの憶測もある。(堀之内健史)

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