ライオンエア機 海に着水 バンドン発便、全員救出 バリ
13日午後3時10分(中部インドネシア時間)ごろ、バリ州のングラライ国際空港で、格安航空ライオンエアの小型旅客機(乗客101人、乗員7人)が着陸に失敗し、滑走路から50メートル先の海に突っ込んだ。地元救難当局によると46人が病院に運ばれたが、いずれも命に別条はない。日本人乗客はなかった。国家運輸安全委員会(KNKT)の調査官が現地入りし、事故原因の調査を開始した。
ライオンエアによると、事故を起こしたのは西ジャワ州バンドンのフセイン・サストラヌガラ空港発のボーイング737―800型機。着陸態勢に入ったものの、滑走路には接触しないまま、海に落ちたという。乗客は大人95人と子ども5人、乳児1人、乗員は7人。同社が把握している救急搬送人数は18人という。外国人はフランス人1人とシンガポール人2人。在デンパサール日本領事館は乗客名簿などから、日本人がいないことを確認した。
13日夕、中央ジャカルタの同社本社で記者会見したエドワード・シライット取締役は、事故当時、空港付近では小雨が降っていたものの、天候に問題はなかったとの見方を示した。機体は尾翼付近で胴体が二つに割れ、機体の下半分が海水に浸かった。フライトレコーダーは回収され、KNKTなどで詳しく記録を調べる。
機体は2012年製造で、3月に米ボーイング社から引き渡されたばかりの新しい機体。この日は南カリマンタン州バンジャルマシンからバンドンに到着後、バリに出発した。出発前の点検でも異常は見つからなかったという。パイロットは飛行時間1万時間以上のベテランだった。
バリは外国人だけで年間約290万人を受け入れる、国内有数のリゾート地。この事故で、同空港滑走路は90分間にわたり閉鎖された。空港によると、到着3便が西ヌサトゥンガラ州ロンボクに行き先を変更し、8便が上空で待機した。出発便にも遅れが出た。
2000年に就航したライオンエアは、国内最大の格安航空。昨年1年間で、インドネシア全体の航空旅客7900万人の40%にあたる3200万人が利用した。現在約100機を保有。
11年にはバリを訪れたオバマ大統領の立ち会いの下、ボーイング社の新型機737MAX201機と新世代機737―900ER型29機の購入契約(224億ドル)を締結。今年3月にはエアバス機を234機発注(240億ドル)、フランスの大統領府で調印式を開くなど、機材・路線数の急増を図っている。
同社は04年、中部ジャワ州ソロのアディ・スマルノ空港で着陸に失敗し、乗客乗員26人が死亡する事故を起こしている。
インドネシアの航空業界は近年急速に拡大する一方、空港の過密化やパイロット不足、航空当局の監視体制など、安全性の確保についての課題が指摘されている。(道下健弘)
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