14年の未加工鉱石禁輸 「法の抜け穴見つける」 エネ相、例外も示唆
2014年1月以降の未加工鉱石の輸出禁止を定めた新鉱業法(09年)についてジェロ・ワチック・エネルギー鉱物資源相は11日、期限内に国内の精錬・加工体制を整えることは困難との見通しを示し、例外を認める可能性を示唆した。地元紙が報じた。国内の鉱物資源の付加価値を高め、産業育成を目的とした措置だが、「時期尚早」として、国内の鉱業界だけでなく、ニッケル鉱石の半分をインドネシアに依存する日本側も見直しを求めていた。
ジェロ大臣は「14年までに施設の整備が完了しないからといって、単純に輸出を禁止することはできない」と指摘。「鉱山の操業が継続できるよう、法律の中に抜け穴を見つけるように試みる」と述べた。一方で、法律自体の変更はないと強調。規定の整備や運用面などで、例外措置を検討するとみられる。体制構築を推進するため、14年の時点で加工体制を整えた業者には優遇策を講じるという。
鉱業法をめぐっては、インドネシア政府が昨年2月、新鉱業法を根拠に輸出禁止を同年5月に前倒しにすると発表。しかしその後、加工設備を整備する予定のある業者には、ニッケルなど65品目の鉱石に20%の輸出税をかけた上で輸出を許可するなど、二転三転する対応が国内外の鉱業関係者を混乱させた経緯がある。
製錬所など加工設備の巨額な建設資金確保の時間だけでなく、建設自体に3年ほど要するとされており、1、2年で対応するのは現実的でないとして、業界は方針の見直しを求めている。インドネシア鉱業協会(IMA)のマルティオノ・ハディアント会長は、年間20万トンの生産能力を持つ銅の精錬施設の建設には12億ドルの資金が必要で、資金を回収するには28年間の操業が必要だと説明。「全ての鉱物を国内で加工するのは現実的ではない」と話している。
ニッケルはステンレスの原料で、約50%をインドネシアから輸入する日本企業の困惑も大きい。昨年8月には両国の官民による対話を実施。経済産業省は「投資環境の悪化を招き、鉱業の輸出競争力を損ねる可能性がある」と懸念を伝え、国内で処理しきれない鉱石が出た場合には輸出を許可するよう求めていた。
昨年10月には東京で枝野幸男経産相(当時)とハッタ・ラジャサ経済担当調整相が会談し、両国間で対話を継続することを確認している。(道下健弘)