税務職員を現行犯逮捕 脱税手引きで収賄容疑 国家財政にも影響 KPK

 汚職撲滅委員会(KPK)は9日、脱税の見返りとして賄賂1億2500万ルピア(約120万円)を授受したとして、大蔵省税務総局職員や実業家ら男3人を贈収賄容疑で逮捕した。KPKは大蔵省と協力し、税務職員の不正摘発を進めてきたが、職員の関与する脱税事件は後を絶たず、現行犯逮捕によるショック療法を続けていく構えだ。
 KPKによると、同日、中央ジャカルタの国鉄ガンビル駅舎内で、大蔵省税務総局職員のパルゴノ・リヤディと仲介者ルキミン・チャフヤント両容疑者を、西ジャワ州デポックの自宅で元レーサーで自動車ディーラーのアセップ・ヘンドロ容疑者を逮捕した。
 アセップ容疑者が仲介者を通じ、パルゴノ容疑者に賄賂を渡したとみられる。内偵を進めていたKPK捜査官が、10万ルピア札を詰め込んだかばんを受け渡した直後に取り押さえた。
 KPKはアセップ、パルゴノ両容疑者が総額6億ルピアの賄賂で合意し、この一部を渡したものとみて捜査を進めている。
 税務総局が関わる汚職事件は2010年に国家警察が摘発し、「税務マフィア」と呼ばれたガユス・ハロモアン・タンブナン受刑者(服役中)の事件が有名。同受刑者はゴルカル党のアブザリル・バクリー党首が所有する資源開発会社の脱税を手引きしたとされる。同受刑者は複数の事件で1千億ルピアを得ていた。
 世論の高まりを受け、ガユス事件後はKPKが税務関連の汚職捜査を本格化。家電量販大手アギスやバクティ・インベスタマの税金還付で便宜を図るために賄賂を受けたとされるトミー・ヒンドラトノ元職員を昨年6月に現行犯逮捕、7月には民間企業の追徴課税を軽減した西ジャワ州ボゴール税務署のアングラ・スルヨ署長(当時)を収賄容疑で逮捕した。
 歳入に直結する税務だが、脱税を取り締まるべき当局者が関わる不正は国家財政に影を落とす。大蔵省によると12年に1016兆ルピアの税収を見込んでいたが、実際に徴収できたのは980兆ルピア。ユドヨノ大統領は税収強化を掲げ、インフラ開発の原資とすることを目指しており、任期が満了する14年に1042兆ルピアまで高めるとしている。
 非効率な徴税制度に加え、税務当局者が賄賂と引き換えに、税金の「値引き」を持ちかけていることも原因とされる。大蔵省は監察官を配置するなど、税務総局や所轄署の監視体制を強化させているが、不正根絶には時間がかかりそうだ。(道下健弘)

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