メガシティの未来を模索 京大で歴史研究会 地球研や人文研
1千万人規模の都市である「メガシティ」を対象に、地球環境問題の解決策を探っている総合地球環境学研究所の村松伸教授や、京都大学人文科学研究所の籠谷直人教授らの研究グループはこのほど、京都大学で「ジャカルタの過去」と題した国際歴史ワークショップを開いた。アジア各国の人口増加で環境に与える影響を危惧し、アジアのメガシティとして長い歴史があるジャカルタを研究し、人口増加する都市と環境対策を両立させる方法を模索している。(高橋佳久)
ワークショップには総合地球環境学研究所の加藤剛客員教授や東南アジア研究所の水野広祐教授、ライデン大学のレオナルド・ブリュッセイ名誉教授など、研究者ら約30人が参加。オランダ植民地期のバタビアにあった華人コミュニティーの成り立ちや、アラブ移民から形成された居住区の空間分析、GIS(地理情報システム)を利用したメガシティの人口密度の分析などが発表された。
ワークショップを主催した籠谷教授は、ジャカルタでは都市化が進み、①農業からサービス業に従事する人々の増加②カンプン(下町)の多様化③華人の影響力が増し、アジアの中でビジネスの重要性が増していること―を指摘。今後のジャカルタの研究課題として①食料自給の問題②多様化しているカンプンの基本概念の成立③中国との関係の再構築―を挙げた。
研究グループでは2050年までのメガシティの形を模索し、政策提言することを目標としている。研究グループの一人の島田竜登東京大学准教授は「ジャカルタは資料が豊富で、歴史研究で課題を見つけ、解決すれば、他のメガシティでも応用できる」と語った。
インドネシアからはインドネシア大学の3人の教員が参加。工学部建築学科のエファワニ・エリサ講師や、インドネシアの歴史を研究するケマス・リドワン・クルニアワン講師、モハマド・ナンダ・ウィジャヤルタ講師が講演した。