ユドヨノ氏が新党首 内部対立の民主党 無投票の全会一致で 党実権の寡占化進む

 民主党は30日、バリ州サヌールで臨時党大会を開き、2月に辞任したアナス・ウルバニングルム前党首の後任として、ユドヨノ大統領を無投票の全会一致で選出した。自身のために設立された党の党首に自らが就任することで、深刻化した内部対立を乗り越え、14年選挙に挙党態勢で向かう姿勢をアピール。一方、実権がユドヨノ大統領に著しく集中し、後継者不在を強く印象付けることにもなった。
 ユドヨノ新党首の任期は2015年まで。党首就任によりユドヨノ大統領はこれまでの顧問会、党紀委員会のほか、地方支部などを統括する中央執行委員会のトップとなった。その三つを指導する党の最高機関「党最高評議会」の議長と合わせ、党主要機関の長を独占。幹事長にはユドヨノ大統領の次男エディ・バスコロ(通称イバス)氏が留任した。クルアルガ・チケアス(ユドヨノ一族)による党の「寡占支配」との指摘が評論家などから出ている。
 大統領側近のシャリフディン・ハサン協同組合・中小企業担当国務相が急きょ設けられたポストの党首代行に就任し、党務を代行することも決まった。有力対抗候補のマルズキ・アリー国会議長は立候補せず、党最高評議会の副議長に就任した。
 ユドヨノ大統領は24日に州支部長の約8割から就任要請を受ける形で出馬を決めた。大統領周辺が地方支部、国会会派に「ユドヨノ党首信任」シナリオを浸透させた。
 アナス氏側近のサアン・ムストパ副幹事長は早々と出馬取り止めを表明。さらにユドヨノ大統領は27日、地方党員の支持者らと会合したマルズキ氏に出馬撤回を事実上勧告するテキストメッセージをマルズキ氏のほか中央幹部、地方党員らにも一斉送信した。
 ユドヨノ大統領は就任演説で、無投票で党首に選出されたことについて「わが一族が党首になるべきではないと考えていたが、多くの党員から党首に推す声があった。党首選で争うことで禍根を残すべきではない」と述べた。
 党大会を主催したのは、ユドヨノ大統領が議長を務める党最高評議会。地方党員、幹部がユドヨノ大統領の党首選出で一致し、マンギンダアン同評議会委員(運輸相)が別室にいる大統領に党員の意志を伝えた末、大統領が決意するという選出方法を採り、党内のアナス派、マルズキ派を封じ込んだ。(吉田拓史)

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