【スラマット・ジャラン】 徹底的に戦略練る アストラ・ホンダ・モーター社長 堀祐輔さん

 アストラ・ホンダ・モーター(AHM)社の堀祐輔社長は4月1日で3年間の任期を終える。
 2010年4月に着任。09年は競合とシェアが拮抗、月別シェアが2位に転落した月もあった。55%のシェアを奪還する使命を受けて、本社二輪事業企画室長から意気揚々と就任した。
 就任後は地方のディーラーを徹底的に回った。販売現場の生の声に触れ、就任前から感じていたスクーター需要の高まりが確信に変わる。「現場の声は圧倒的にスクーターだ」
 矢継ぎ早にスクーターの生産能力を上げ、商品ラインナップを拡充した。ホンダがスクーターの比重を上げ、市場のスクーターシフトが鮮明になった。売れ筋スクーター「ビート」は昨年147万台を販売し、今年も納車待ちが続く。
 さらに広告戦略「OneHEART」でブランドイメージをてこ入れした。着任時に準備が進んでいた広告を急きょ取り下げて練り直し、10年8月から投入。「『インドネシアの浜崎あゆみ』である女性歌手アグネス・モニカと、『サザンオールスターズ』的な男性バンド『ニジ』で消費者の関心を鷲づかみにした」。テレビでテーマ曲を聞かない日はないほど、集中的に広告を打った。
 シェアを順調に伸ばした11年11月には、13年末まで全車両に燃料噴射装置(FI)を搭載すると宣言。大きな販売台数がないと費用対効果が望めない戦略にあえて舵をきった。ホンダの技術的優位があると自負するFIを安価で搭載し、政府の排出規制ユーロ3導入を誘引する流れを作った。
 4月からホンダのアジア太平洋地域の統括会社、アジアホンダモーターのアジア大洋州二輪事業担当役員に就任する。中国を除く21カ国を統括。「まずはインド。パキスタン、バングラデシュ、ミャンマーなども有望だ」と意欲を見せた。(吉田拓史、写真も)

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