【主要4政党幹部が切る ユドヨノ政権発足2年(1)】 慎重な決断は当然 経済で具体的成果 民主党 シャリフディン・ハサン中小企業相
二〇〇九年十月に発足した第二期ユドヨノ政権が二十日で二年を迎えた。発足当初の勢いは衰え、支持率が低下傾向にある中、十八日に内閣改造に踏み切り、国民の信頼回復を図る。憲法の規定で大統領の退任が確定している二〇一四年まで残り三年。民主党、ゴルカル党、闘争民主党(PDIP)、福祉正義党(PKS)の主要四政党の幹部に政権二年を振り返ってもらった。(関口潤、写真も)
ユドヨノ大統領率いる民主党は、大統領の人気を追い風に二〇〇九年の国会議員選挙で国会第一党に躍進した。だが連立を組む老獪なゴルカル党の揺さぶりで議会運営に苦しみ、政策遂行の足を引っ張っている。党創設メンバーで現役閣僚のシャリフディン・ハサン協同組合・中小企業担当国務相に聞いた。
―発足から二年を迎えたユドヨノ政権の成果は。
◆ハサン氏 経済成長率は六%を超え、失業率は六・八%、貧困率は一一・一四%。米国は失業率が九%以上で貧困率は一五%以上だ。一人当たりの国内総生産(GDP)は三五五〇ドルで、これらの具体的な数値を見れば、マクロ経済が非常に好調で、具体的な発展につながっていることが分かる。
―ユドヨノ大統領の評価は。
◆非常に賢く、リーダーシップの経験が豊富。将来の計画や今やるべきことを細かく知っており、完璧な指導者だ。
一九四五年の独立以来、初代のスカルノ大統領、二代目のスハルト大統領にユドヨノ大統領を加えて三人の偉大な指導者がいる。時代が異なるので単純に比較はできないが、私からすればユドヨノ大統領が最も優れた指導者だ。
―だが野党や評論家は「決断ができない大統領」と批判している。
◆その批判は間違っている。もし決断ができなければ、経済がこんなにうまくいくわけがない。
決断が遅いというが、大統領が従事しているのは家族や企業ではなく国家の任務。二億三千八百万人を抱えており、さまざまなことを考え抜いた上で決断を下すのは当然だ。
―ユドヨノ大統領は汚職撲滅を最優先課題に挙げていますが、大統領率いる民主党で汚職疑惑が出ています。
◆悲しいね。ただ個人が行ったことであり、党には関係ない。民主党員でも閣僚でも、汚職をすれば必ず刑務所に行くということは示すことができた。
―汚職疑惑の影響もあり、党の支持率が低下している。
◆心配は全然していない。落ちてはいるが、いまだに支持率はほかの政党より高い。特に小政党は支持率を伸ばせないでいる。もちろん、悪い事件は二度と起こさないようにしたい。
―なぜ連立与党内で対立が生じるのか。
◆連立を組んでいても、各党にはそれぞれ目標がある。民主党を批判して、自分の党の支持率を上げたいのだろう。
センチュリー銀行問題や司法マフィア問題のとき、国会はユドヨノ大統領を辞任に追い込むことだけを考えていた。われわれはガラス張りで、調査はいくらでもすればいい。だが大統領や政府が間違っているわけではないのに、辞任に追い込もうとするのは間違っている。
―内閣改造の目的は。
◆この二年間、大統領は閣僚の働きに厳しい見方を持っており、しっかりとやればもっと成果が出ているはずと考えていた。民間からインフラ整備の要求があることは分かっており、残り三年、まずはインフラの改善に取り組む。
―民主党は大統領選に誰を擁立するのか。
まだまだ先のことで分からない。日本だって首相が交代するときは菅(直人)さんとか小沢(一郎)さんとかすぐに出てくるでしょ。必要なときがくればすぐに大統領候補は現れる。民主党が候補を選ぶのは二〇一三年以降だ。 (つづく)