東南アジアで初開催 日本医療売り込む 経産省、MEJがセミナー
経済産業省と、同省の支援で11年に設立した医療の国際化支援組織である社団法人「メディカル・エクセレンス・ジャパン(MEJ)」は23日、ジャカルタのホテルで、国内の医療従事者向けに日本の医療を紹介するセミナーを開いた。世界最高水準を誇る日本の医療をハード、ソフトの両面で売り込む取り組み。医師の知見、日本メーカーの医療機器の性能をアピールした。セミナーはこれまで中東などで開いてきたが、東南アジアでは初開催。今回初めて日本経済新聞社が共催し、医療機器メーカーの参加を取りまとめた。
セミナーでは、公益財団法人「がん研究会」の土屋了介理事ががんの画像診断法など、公益財団法人「神戸国際医療交流財団」の田中紘一理事長が生体肝移植の技術などをそれぞれ説明。医療機器を扱う日立製作所、住友重機械工業、東芝メディカル・システムズ、シップ・ヘルスケア・ホールディングスの4社が自社製品を紹介した。
鹿取克章・駐インドネシア日本大使、観光創造経済省観光開発局のヘンキー・ヘルマントロ次官をはじめ、インドネシアの病院経営者、医学部教授など約250人が出席した。
世界の医療機器市場では、米GE、ドイツのシーメンス、オランダのフィリップスが3強。MEJの北野選也氏によると、3社は、それぞれの国で医学部を置く有名大学などと連携し、大学のブランド力を武器に、病院経営システムと一体で医療機器を世界に売り込んできた。日本のメーカーの海外への売り込みは会社単独であることが多く、日本企業同士が競争させられ、価格を下げて販売せざるを得ない状況もあったと話す。
日本の輸入超過が続く中、経産省は医療を輸出産業に育てたい考え。来イしたヘルスケア産業課の福岡功慶課長補佐は「巻き返しを図りたい」と力を込める。学会なども巻き込み、今後もセミナーを続けていく方針だ。(田村慎也、写真も)