【火焔樹】 お節介なおばさん

 4年間家で働いてくれたメイドが、この前のレバラン(断食明け大祭)後に結婚した。22歳になっていたので、彼女の故郷ランプンではもう若くないということで母親がもう何年も結婚を催促していた。
 田舎では、今でも18歳までに結婚し、19歳を超えるともう売れない女性という烙印を押されるという。ちなみに、彼女と一緒に働き始めた16歳のもう一人のメイドは1年で仕事を辞め、すぐに結婚し、いまでは2歳の息子がいる。
 私の娘が、学業を終えていまだ結婚が決まっていなかった時も、色々な花婿候補の話がやって来た。私は「インドネシアと言う国の優しさは今の日本になくなってしまったものだなあ」と、電話して来てくれるすべての親戚に頭が下がる思いであった。もちろん、メイドも義理の姉が紹介した人と結婚したのだが、彼女は結婚式まで一度もその男性に会わなかった。
 インドネシアでは、かつての日本にあった優しさがいまだ生きている。「あそこのお嬢さんとあちらの息子さんはお似合いではないか」と、あちこちの人たちが考えてくれる。そして、「あそこのお嬢さんはいまだ嫁いでいない」とバッシングする。
 今の日本は、皆そのことについて口をつぐむ。まず女性にいまだ結婚していないのか尋ねることがタブー。その次に、「もしめでたく結婚しても、何か問題が起これば仲介の人を相手に訴訟なんてことが起こり得るので、恐ろしくておちおち話も持っていけない」とも聞いた。
 この前、日本の姪が30歳過ぎても結婚していないと日本人の友人に言ったら、「そんなのまだ若い」と言われてしまった。彼が話に上げた女性は、税理士で40歳に近いがいまだ結婚していないという。有能な女性が忙しさを理由に結婚しない。何ともったいないことだろうか。
 日本の女性たちがあちこちのお節介なおばさんたちの世話で結婚してくれた時代にはもう戻れないのか。お節介なおばさんの私はそう思ってしまう。(ゲストハウス経営・平井邦子)

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