現地幹部の育成促進 5カ国合同入社式開く ASEAN戦略強化で イオン
流通大手イオンはASEAN(東南アジア諸国連合)戦略強化に向け、インドネシアを含む各国での幹部候補育成を本格化させている。アセアン本社(マレーシア)が7日、東南アジアの5カ国(インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、カンボジア)の各会場をインターネット中継し、グループの新入社員約300人を対象に合同入社式を開いた。昨年に続き2回目で、今回はインドネシアとカンボジアが加わった。インドネシアでは、来年にも開始予定のショッピングモール事業向けを含め、採用を加速。積極的に事業拡大を図っていく方針だ。
イオンは、各国で幹部を養成し現地化を促進するとともに、各国間の人材の流動化も視野に入れている。2013年度(13年3月〜14年2月期)は、店舗数拡大を進める中国と東南アジアを中心に「グローバル人材」として1500人を採用し、海外戦略を強化するとともに、将来的には日本本社における外国人社員の比率も大幅に引き上げる方針。
インドネシアでは、約50人が南ジャカルタのイオンクレジットサービス・インドネシア社内で合同入社式に参加。マレーシアのメイン会場から、イオングループ・アセアン本社の尾山長久社長が新入社員に対し、「東南アジア各国を股にかけてビジネスができる機会は滅多にない。お客様を第一に考えて業務に取り組んでほしい」と激励した。
また、東南アジア各国は中間層が増加し消費市場として魅力があると指摘。「欧州や米国の小売り業者に遅れを取らないよう、競争力を強化する必要がある。社員が各国の消費者の要望を汲み取るとともに、流通網の整備や品揃えの充実に力を注いでいく」との方針を示した。
入社式では、各国の新入社員の代表者が決意表明。インドネシアからはクデップ・ハディ・プラマナさん(26)が「イオンの一員になれたことをうれしく思う。私たちの力で会社を大きくしていく」と力を込めた。
■アジアシフト鮮明に
イオンは11〜13年度の中期経営計画の一つの柱として、アジアシフトを打ち出している。グループ全体の成長を支える戦略として、昨年から日本・中国・ASEANの3本社体制を敷いた。日本市場が飽和状態となる中、成長著しい新興国・地域である中国とASEANに重点的に投資していく。
グループ全体に占める、中国と東南アジアなどを合わせたアジア事業の売上高の比率を、12年度の12%から20年度までに40%に引き上げる目標だ。
イオンのインドネシア事業は、06年に家電や家具などを対象とした分割払いサービスのショッピングクレジット事業として開始。主力のショッピングモール事業では、来年末の首都圏での第1号店開業を目指し、準備を進めている。
イオン・インドネシア社の菓子豊文社長は「インドネシアの中間層は各国と比べて規模が違う。ASEAN地域の中核になる。今後、事業を拡大していく」と語り、今後3年間で出店を加速していく方針を示した。(小塩航大、写真も)