「日本の不況脱出に」  ASEAN歴訪の  地元メディア論調  安倍首相来イで  対中関係なども触れ

 安倍首相の来イに関する地元メディアの報道は、前日の首都圏で発生した大規模洪水とアルジェリア人質事件を受けた大幅な日程短縮の影響もあってか、主要各紙が1面トップでニュースを報じた2007年の前回訪問と比べ、小さな扱いに留まった。19日付の主要紙、テレビ報道は、ユドヨノ大統領が直接陣頭指揮を執る「国家的災害」となった洪水が大半。一方、日本のアジアでの外交戦略について触れた記事では、日本は、これから成長が期待される新興国が揃うASEAN(東南アジア諸国連合)との関係強化が必要と感じているが故のASEAN歴訪と、勢いのある新興国としての自負を背景に、冷静に分析する論調も目立った。

 主要紙コンパスは国際面で安倍首相が会談後に発表したASEAN外交に関する5原則を紹介し、来イと不安定な日中関係の関連性を強調した。解説記事では、安倍政権の「東南アジア重視」の背景には経済・貿易の対中依存を減らすことと中国が強硬になる中でASEANと戦略的協力を構築することがあると指摘した。日本の国内情勢については、景気減速と日中関係が悪化する中で安倍首相は難しい局面に直面しており、日本政治ではナショナリズムが台頭し、安全保障での米国依存が再考されているとも分析。日本にとって不況から抜け出す手段として、成長する東南アジアの安定が欠かせないと指摘した。
 英字紙ジャカルタ・グローブは1面全面でユドヨノ大統領とのツーショットを掲載した。2面では、ASEAN3カ国歴訪について、「ASEANとの結びつきを強化することは地域とグローバル競争の中で日本の経済的パフォーマンスを保証する」とするアレクシウス・ジュマドゥ教授(プリタ・ハラパン大)の談話を紹介。同教授は、「中韓との緊張状態が東アジア地域での日本企業の事業拡大の意欲を低下させる可能性があり、これが日本の投資家、実業界がより南に視野を向ける理由になっている」と分析した。
  英字紙ジャカルタポストも1面サイドで「安倍首相、つかの間のジャカルタ訪問でASEANを褒めちぎる」の見出し。「戦略的パートナーシップ」の強化で一致したことを伝え、2015年に共同体を構築するASEANとの関係強化は日本の国益になるとする安倍首相の発言や「中国は経済の面においては日本に間違いなくプラスになる。国際社会において責任ある行動を取っていくことも重要だ」との発言を紹介した。(吉田拓史)

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