【火焔樹】 じわり高まる自然派志向
日本にいたころから出来る限り自然農法の野菜を食べ、エコロジー関連のイベントにも趣味として足を運んだ。肌が弱いので、自宅で石けんや化粧水を手作りし、酢や重曹を使ったナチュラルな掃除方法にも親しんできた。ジャカルタでそういった生活を継続していけるか不安もあったが、意外と不自由なく過ごせている。現在はこちらの市販の材料で石けんを趣味で作っている。
経済発展が進み中間所得層が増えてきた影響からか、ジャカルタでもここ数年、オーガニック製品やエコロジカルな商品への関心も高まりつつあるのを感じる。高級モールの大型スーパーには有機の野菜や製品がそろえられたコーナーがある。飲料や雑穀は輸入品が多いが、生鮮野菜、コメ、大豆、砂糖、香辛料などは国産ブランドが数種並んでいる。
食品以外にも自然派志向の流れは見られる。グリーンラジオは2008年に設立されたエコ情報専門のラジオ局。毎日音楽の合間に様々なトピックでエコ関連の話題を放送している。
2012年10月にはオーガニック製品愛好家コミュニティー主催の第2回オーガニック&グリーン&ヘルシー展が規模を拡大し3日間に渡って行われた。コンセプトが幅広かったために、コメや砂糖などの生産者、ジャムーのような健康飲料やサプリメント業者も多かったが、布おむつや石けんを扱うスタンドもあった。
10年のエコプロダクツ国際展で展示されていた生分解性プラスチック製レジ袋は、またたく間に大手スーパーやデパート数社に導入された。クラフト展でも、昔ながらの草木染めバティックを販売する出展者が回を追うごとに増えている感じだ。
こういった自然環境や人体への影響に配慮した製品の価格は割高なので、当然購買層は裕福な人たちに限られている。しかし、富裕層ではない私のインドネシア人の友人にも、アトピーなどの敏感肌に悩んでいる人は結構多い。これからもっと中間所得層が厚くなれば、ナチュラル志向や敏感肌用商品の一大ブームが来るかもしれない。私の新商品探しへの好奇心もまだまだ尽きない。(ジャカルタ在住・福崎令奈)