豪雨で冠水続く チリウン川増水に警戒

 ジャカルタや西ジャワ州ボゴール、デポックなど首都圏全域で14日深夜から豪雨が続き、ボゴールから首都を蛇行するチリウン川の上流の水位が上昇、各地で冠水が多発している。チリウン川増水の目安となるボゴール県のカトゥランパ水門では15日午前7時半ごろ、水位が平均水位の80センチを超える210センチを確認。国家防災庁(BNPB)は洪水警戒レベルを最高の「シアガ1」を発令し、水門を開放した。同日午前9時には水位が150センチまで下がり、「シアガ3」に引き下げられた。
 チリウン川増水の指標となるのは、ボゴールのカトゥランパ水門、デポック水門、南ジャカルタのマンガライ水門の各観測所で、平均水位を上回り始めると、上流から徐々に水門を開けて放水し、各地域の増水を調節する。カトゥランパ水門からマンガライ水門まで到達するのは約10時間後とされており、下流の東ジャカルタのカンプン・ムラユなどでは救命ロープの設置など、住民は対応に追われた。
■19地域で冠水
 ジャカルタ交通警察によると、15日午前7時までに東ジャカルタや北ジャカルタなどの19地域で冠水被害を確認。南ジャカルタのポンドック・ラブでは早朝6時から地域一帯で水位が40〜50センチ上昇した。
 バンテン州タンゲランのプリウックでは2.5メートルまで水位が上昇し、約600戸が被害を受けた。
■下流に流れ込む
 BNPBは18日まで雨が続くとし、警戒を呼び掛けている。また、今回の大雨がチリウン川の上流で起きているために、下流に位置するジャカルタに流れ込み「12月に発生した洪水よりも大きな被害になる」と予想。
 南ジャカルタのマンガライ水門では、午後6時時点で平均水位の750センチを上回る860センチまで上昇し「シアガ2」が発令された。
 ジャカルタでは2002年や07年に起きた大規模な洪水被害を受け、首都東部の河川の水を引き込み、海に流す東放水路を整備。流域では以前に比べて洪水が減少するなど効果も出ている。
 洪水対策にはチリウン川の治水対策が不可欠だが、公共事業省に派遣されている国際協力機構(JICA)専門家の田中敬也・洪水対策アドバイザーによると、川幅の拡幅などの改修が計画されているが「実際に効果が現れるのは5〜10年はかかる」と指摘する。

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