成長率目標を下方修正 蔵相「世界経済低迷で」 政府 6.8→6.6%に
アグス・マルトワルドヨ蔵相は14日、国会第11委員会(金融、銀行、開発計画担当)との予算審議で、今年の経済成長率目標を当初の6.8%から6.6〜6.8%に下方修正すると明らかにした。蔵相は修正の理由として、世界経済の不透明感が依然払拭されていないことを指摘。内需や投資は堅調な成長が続くとの見通しを示す一方、欧米など先進国経済の影響が広がることに懸念を示した。
中銀のダルミン・ナスチオン総裁、国家開発計画庁(バペナス)のアルミダ・アリシャバナ長官、同委の24議員らが出席した予算審議で、アグス蔵相は「成長率の修正は世界経済の成長を背景としたもの」と述べ、欧州の債務危機や米国の財政の崖問題が依然として未解決との見解を表明。輸出などでインドネシアにも当初より大きな影響が及ぶ可能性があるとの見方を示した。
また、燃料補助金などの算出基準となる原油価格についても、予算案提出時の1バーレル100ドルから100〜109ドルに修正する意向を示した。インドネシアは石油の純輸入国となっているため、価格上昇は歳出増になる。
しかし、アグス蔵相は「補助金対象の燃料価格を引き上げるのは、財政面の理由だけでは実施できず、貧困や社会的影響の観点を考慮しなくてはならないことは理解している」と述べ、ガソリン価格の値上げには慎重な姿勢を見せ、消費量抑制のための方策を講じる必要があると強調した。
補助金が充当された燃料の消費量は昨年、当初割り当てていた4千万キロリットルを大きく上回る4520万キロリットル。政府の燃料補助金は現在、最終的な算定を行っているが、211兆ルピアを上回る見込みとなっている。
今年は4600万キロリットルを割り当てているが、アグス蔵相は抑制策を講じたとしても割当量を上回る可能性を示唆。「エネルギー鉱物資源省は割当量を上回ることを懸念している。その場合、財政負担がさらに増すことになる」として、厳しい財政運営を迫られている状況を吐露した。
これに対し、国会第7委員会(エネルギー・鉱物資源、科学技術、環境)のボビー・リザルディ議員は「補助金支出が増大した場合、公務員の給与などを削るわけにはいかず、インフラ支出などが犠牲になる」として、一層の経済成長に不可欠なインフレ整備などが停滞することに懸念を示した。(上野太郎)