安倍首相の訪イ発表 18日、ASEAN式典出席 初外遊、東南アジア重視鮮明に
安倍晋三首相は16〜19日、ベトナム、タイ、インドネシアの東南アジア3カ国を訪問する。菅義偉官房長官が10日午前の記者会見で正式発表した。インドネシアではジャカルタで18日に開かれる日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の友好協力40周年を記念した式典に出席を予定。日本の首相がインドネシアを訪れるのは、国際会議への出席を除くと2007年8月に第1次内閣時の安倍首相以来、4年5カ月ぶり。堅調な発展を続けているインドネシアなどとの経済関係のさらなる強化を確認するほか、民主主義など価値観の共有を強調することで、海洋進出を強めている中国をけん制するものとみられる。
昨年末の第2次安倍内閣発足後、首相の初めての外国訪問。初外遊先として調整していた訪米は、米側の日程事情のため先送りになった。岸田文雄外相が9日からフィリピン、シンガポール、ブルネイを訪問。麻生太郎副総理は年初にミャンマーを訪れており、政権の東南アジア重視の姿勢を鮮明にしている。
菅官房長官は安倍首相の東南アジア訪問について、「アジア太平洋地域の戦略環境が大きく変化している中で、この地域の平和と安定を確保していくために、ASEAN諸国との協力関係の強化が重要」と強調。
「訪問する3カ国は世界の経済成長をけん引する21世紀の成長センターの一翼」と評価した上で、「これらの国の成長を日本へ取り込み、日本の経済再生につなげたい」との意向を示した。
質疑応答では、ASEAN諸国の歴訪は「対中国包囲網に見える」との指摘に対し、菅氏は「指摘は当たらない。近隣諸国との関係強化は、安倍政権の戦略外交の重要な柱の一つ」「日本にとって中国は重要な隣国であり、第1次安倍内閣では最初の外遊先に選び、戦略的互恵関係を結んだ」と説明した。
安倍首相は2007年の訪イ時に2国間の経済連携協定(EPA)に署名。昨年末のユドヨノ大統領との電話会談では、06年の首脳会談で発表した「戦略的パートナーシップ」を一層強化することで一致している。(関口潤)