「女性は横座りに」 「またがるのは男」 アチェ州ロクスマウェ市長 オートバイ乗り方を規制

 アチェ州のロクスマウェ市は2日、女性がオートバイの後部席にまたいで座ることは、敬けんなムスリムの多いアチェの文化にふさわしくないと判断、禁止する通達を発令したと明らかにした。体を横向きにして女性らしく座るよう呼び掛けていくとしている。
 地元メディアによると、スアイディ・ヤヒヤ市長は「本来、(敬けんなイスラムが根付いている)アチェの文化では、女性は男性のようにオートバイの座席にまたがって座るべきではない」との見方を表明。2日付で発令した市長通達は、地元のウラマ(イスラム知識人)の支持を得ていると強調し、今後、役場を通じて周知活動を行っていく方針。
 周知後、市民の反応など状況を勘案し、違反者に対する罰則を決めた上で市長決定か宗教条例を発布し、取り締まっていくことを検討しているという。
 男女の区別を明確化する市長の規制案に対し、国立イスラム大学アチェ校のアル・ヤサ・アブバカル教授は「ハディース(預言者ムハンマドの言行録)には、男女の区別が困難にならないような服装の着用を促す文言などがあるだけ」と指摘。女性の服装についても、体の形を強調するタイトな服などでなければ問題ないとの見解を示した。
 複数の外国メディアが市長通達について報じるなど反響が広がっている。女性国会議員のノファ・リヤンティ・ユスフ氏(民主党)は「明らかな女性蔑視」と一蹴。オートバイの座り方を規定する必要性はないとし、「自治権が拡大されたからといって、女性差別の法令を施行することは許されない」と訴えた。
 市内の大学に通う女子学生は「この通達は馬鹿げている。イスラム法(シャリア)が市当局の道具に使われている」と批判した。
 内務省のズダン・アリフ・ファクルロ法務局長は「アチェは唯一イスラム法を施行している州だが、内務省は同州の条例を拒むことができる」と説明。同省は昨年、1万3520の地方条例のうち、女性の夜間外出を禁じた条例など、824条例が法律など上位の法令に適合していないとして、自治体に改定や撤廃を求めている。
 アチェ州では、自治体がイスラム法に基づいて「カヌン」と呼ばれる宗教条例を制定し、売買春など風紀の乱れに関する項目を規定。通常の警察とは別に、シャリア警察が各地に配置され、カヌン違反者の取り締まりを行っている。

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