玄葉外相が来イ 海洋安保で連携 閣僚級戦略対話開く
東南アジアを歴訪している玄葉光一郎外相は十三日夕、インドネシアに到着し、中央ジャカルタの外務省でマルティ・ナタレガワ外相と第三回日イ閣僚級戦略対話を開催した。米国とロシアが初めて参加し、十一月にバリで行われる東アジアサミットなど東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議を前にASEAN議長国インドネシアとの連携強化を狙う。
玄葉外相は海洋の安全保障での連携拡大やインフラ輸出を念頭に置いた経済協力促進、環太平洋連携協定(TPP)の交渉を主な目的に、十二日にシンガポール、十三日にマレーシアを訪問した。九月の外相就任後初の東南アジア訪問。国際会議以外での外相のインドネシア訪問は、岡田克也外相(当時)が二〇〇九年十月にジャカルタを訪れて以来、二年ぶり。
戦略対話は今年七月に松本剛明外相(当時)とマルティ外相が行って以来で、今年だけで三回目。十四日午前にも引き続き行う。
二日間に及ぶ戦略対話では、中国が東シナ海や南シナ海で権益拡大を狙う中、海洋安保での共通の理念やルールの強化へ向けて協議するとみられる。南シナ海問題では中国とフィリピン、ベトナムなどの間で領有権争いが行われており、東シナ海で中国と領有権問題を抱える日本は、ASEAN諸国との連携を強化することで中国をけん制したい考え。
またインドネシアで急務となっているインフラの整備で協力を確認する見込み。
玄葉外相は十四日、戦略対話のほか、ブディオノ副大統領、ジョコ・スヤント政治・法務・治安担当調整相、ASEANのスリン・ピッツワン事務局長らと会談を予定。同日夜、帰国の途に就く。
◇「コウと呼んでください」 友好ムードを演出
「コウと呼んで下さい。私はマルティと呼びます」。外相訪問の調印を済ませた玄葉光一郎外相は笑顔で口を開いた。一九五八年の日イ国交樹立以来、親密な関係を築いてきた日本とインドネシア。二国間関係のさらなる強化を図る第三回日・インドネシア閣僚級戦略対話は笑顔で始まった。
午後七時半、マルティ・ナタレガワ外相は外務省庁舎の玄関で、日本からのゲストを待った。扉が開かれ姿を現した玄葉外相は右手を挙げ、笑顔を送った後、強い握手を交わした。
夕食会でも玄葉外相は終始、笑顔を絶やさない。両外相が先月、ニューヨークの国連総会で初めて会ったことに触れ、「互いに年齢が近く、ウマが合った。当時も戦略的な友好関係を深めるため、個人的な信頼関係を築こうと話した」と語り掛け、友好ムード演出に努めた。