洪水対策 道半ば 2日連続で交通混乱 排水・浚渫工事進むも 州高官「降水量多すぎ」

 ジャカルタは22日、前日に続いて全域で大雨に見舞われ、中央ジャカルタのホテル・インドネシア(HI)前ロータリーや州内各所で、車両の通行が困難になるほど冠水した。州政府は排水設備の拡充を近年進めており、洪水被害は徐々に少なくなっているが、2日間連続で発生した冠水被害で、改めて水害対策の遅れが露呈。新知事の洪水政策に対する期待も高まっているが、水害対策には長期間にわたる河川の浚渫(しゅんせつ)工事や下水道の整備が必要で、目に見える効果が現れるにはまだ時間がかかりそうだ。  
 警視庁交通管理センター(TMC)によると、22日午後に降った雨で、HI前ロータリーでは60センチまで水位が上昇。東ジャカルタ・チャワンでは23日午前3時ごろ、上流で降った雨により水位が120センチ上昇したチリウン川が氾濫し、流域で最大100センチの洪水被害に見舞われた。
 21日にはHI前ロータリーで最大50センチ冠水し、連休前の首都の交通がまひした。2日間連続で目抜き通りが大規模に冠水したのは、今回の雨期に入ってから初めて。
 州公共事業局のエリー・バスウォロ局長は22日、地元メディアの取材に対し、「排水設備を確認したが、適切に機能していた」と説明。「冠水被害が起きたのは、降水量が多すぎたため」と語った。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)知事は、関係機関に対して対策を強化するよう求めた。
 両日の洪水で、バスや電車などの公共交通機関の運行にも乱れが出た。スカルノハッタ空港では、渋滞の影響で航空機乗務員の到着が遅れ、3便が最大5時間遅延した。
 ジャカルタでは2002年初め、07年初めに大規模な洪水が起こり、中心部の高級ホテルが1年半に渡る営業停止などの被害もあった。
 公共事業省に派遣されている国際協力機構(JICA)専門家の田中敬也・洪水対策アドバイザーによると、首都圏で起こる洪水の主な原因は(1)排水設備の整備の遅れ(2)都市化による河川への雨水流出量の増加(3)北部地区の地盤沈下―の三つ。今回、2日間にわたって起きた冠水は、排水設備の整備の遅れが大きく影響した。
 水害を緩和するためには、排水溝の維持・管理や排水先となる河川の許容水量を高めるための浚渫工事などが必要となる。今後、世界銀行の支援なども受け、公共事業省によるチリウン川などの主要河川の改修が加速する見込みだが、田中氏は「目に見える効果が現れるには10年はかかる」と指摘する。
 2010年末には、首都東部の河川の水を引き込んで海に流す東放水路の運用が始まり、流域では以前に比べて洪水が減少するなど効果も出ている。ジャカルタの雨水の排水の大部分を担うプルイット貯水池では、ポンプ場改修計画がJICAの支援で進められており、排水機能の回復と洪水被害の軽減が期待されている。(岡坂泰寛)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly