判事に初の懲戒免職 最高裁、判決書き換えで 薬物事件で不正に減刑
最高裁は11日、判決文を不正に書き換え、覚せい剤製造事件の被告の刑を減軽したとして、アフマド・ヤマニ最高裁判事を懲戒免職とすることを決めた。地元紙が報じた。最高裁判事が懲戒免職されるのは初めて。判事は問題発覚後、辞意を表明したが、最高裁は認めなかった。かねてから指摘されていた法曹の不正に対し、最高裁自らが厳しい姿勢を示した先例となりそうだ。
判事3人による評議で決定した判決の量刑は禁固15年だったが、ヤマニ元判事が草案作成段階で禁固12年に修正し、判決文が作成されたという。
地元メディアが先月、判決文の不審点を報じ、批判が拡大。判事は健康状態の悪化を理由に辞表を提出したが、最高裁は受理しなかった。最高裁倫理委員会や判事の監視機関である司法委員会が合同で調査チームを編成し、経緯を調べていた。最高裁と司法委が合同で判事の不正を調べるのは異例の措置という。
ヤマニ元判事は「書き換えは自分の知るところではない」と関与を否定したが、最高裁倫理委は「倫理規定違反があり、免職という厳格な処分が必要」と結論付けた。書き換えの理由は、明らかになっていない。
司法委のアセップ・ラフマン報道官は「倫理委の決定により、司法に対する国民の信頼が回復することを期待する」と述べた。
アセップ報道官は国家警察が文書偽造の疑いで、捜査を始めたことも明らかにした。
判決にはヤマニ元判事のほか、イムロン・アンワリ、ニャク・パ両判事が携わっており、2判事の関与についても調査チームが調べを進める。
問題の裁判は、覚せい剤製造の罪に問われ、下級審で死刑判決を受けたヘンキー・グナワン被告の事件。同被告は06年、東ジャワ州スラバヤの住宅で、11.1キロの覚せい剤(末端価格108億ルピア)を製造したとされる。