科学技術で連携強化を ITBでイノベーション会議 日イ国交55周年控え
日本とインドネシアの科学技術振興について議論する「日本・インドネシア・イノベーション会議」(バンドン工科大学=ITB=主催)が30日、2日までの日程で、西ジャワ州バンドンの同大学ホールで始まった。来年で国交樹立55年を迎える両国の、次世代の連携のありかたについて考えようとの企画で、インドネシアの関係省庁や日本大使館、インドネシア日本友好協会(PPIJ)などが後援した。初日には白石隆政策研究大学院大学学長らが参加し、現状や今後の展望について意見を交換した。(西ジャワ州バンドンで、道下健弘、写真も)
この日のパネルディスカッションには白石氏のほか、PPIJのギナンジャール・カルタサスミタ理事長(大統領顧問会議委員)、中村道治科学技術振興機構(JST)理事長らが出席した。
白石氏は、インドネシアは2030年までに中国と米国、インドに次ぎ、日本やロシア、ドイツなどと並ぶ経済規模を持つグループに属することになると予測。「中国、インド、日本とともにアジア太平洋地域の主要プレーヤーになる」と強調した。日イ関係では、ユドヨノ政権が2009年に2期目に入って以降、両国の関係は沿岸海域警備などを含む安全保障にも広がっていると説明した。
一方、日本の科学技術については「ここ15―20年で他国に追いつかれ、競争力が弱まっている」と指摘。日本の研究機関とインドネシアなど他国との連携強化が重要とした上で、各省庁にまたがる規制などの権限の見直しが必要とした。
ギナンジャール氏は1958年の国交樹立以降、日本からの政府間援助や企業の活動でインフラ整備や資源開発が進んだことなど、これまでの両国関係による成果を強調する一方、「次の50年は、援助する側とされる側の関係ではなく、対等な関係として連携するべきだ」と指摘。日イが協力して労働集約型産業ではなく、高い技術力を持った産業を発達させることを期待した。
会場ではNTTデータ、NEC、日揮、東レなど、約60社・団体がブースを出し、先端技術を紹介している。同日に開かれた情報技術、エネルギー分野のセミナーに加え、会期中にバイオテクノロジーなど計六つの分科会を開く。
最終日の2日には、日本インドネシア協会会長を務める福田康夫元首相とブディオノ副大統領が会合を総括し、講演する。