狙え2億4千万市場 参入目指し商談会 日本の食品19社 三菱東京UFJ銀が仲介
インドネシア市場に売り込みをかけたい日本の飲食料品企業と、日本の商品を扱いたい地場企業を結び付けようと、三菱東京UFJ銀行が、27、28の両日、中央ジャカルタのインターコンチネンタル・ホテルで、商談会を開催した。日本企業の海外進出ニーズがさまざまな業界に広がる中、同銀が、国内外に有する広範なネットワークを生かし、両国企業を仲介するという試み。今回が初開催となるインドネシアでは内需に的を絞り、食品業界を中心に、具体的な取引実現を目指し、真剣に話し合う姿が見られた。(田村慎也、写真も)
インドネシアは、多くの日本の食品メーカーにとって、販売ノウハウがない「未知の市場」。世界4位の2億4千万人の人口に魅力を感じながらも、単独での進出は容易でない。
「メーカーが独自に市場開拓するのは難しい」と、海苔(のり)の販売開始を目指す白子(東京都江戸川区)営業統括部の張拓秀課長。輸入ライセンスの取得など、インドネシアの法制度がシンガポールなど他国に比べ煩雑な上に、販売網もない。海苔生産のタオケーノイ社(タイ)が、インドネシアに輸出販売しており、海苔を食べる習慣が広がっていることに、張課長は可能性を見出している。
■地場企業から要望相次ぐ
「でん六」に次ぎ、国内豆菓子シェア2位のミツヤグループ(福岡県福岡市)。グループで参加した地場系大手小売りのヘロー・グループから、ハイパーマーケットのジャイアントでは「安くしてほしい」、スーパーのヘローでは「早く商品を出してほしい」、ミニマーケットのスターマートでは「小分けにしてほしい」とそれぞれに要望が上がったという。わさび、塩味の豆菓子のインドネシアへの輸出開始を目指し、準備を進めていく方針だ。
■事前調査でニーズ把握
商談会に参加したのは、伝統市場、モダン市場に販路を持つ地場中心の卸売・小売企業13社とヘロー・グループ、日本の食品企業など19社。2日間の商談は、延べ130回を数えた。
三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店が、インドネシアの小売企業に対して日本食品需要のヒアリングを実施。取引先企業32万6千社の中から、インドネシア事業に関心の高い19社が参加した。
幕張メッセ、ナゴヤドームなど、同銀による日本での商談会は年に一度開催し、今年で10回目。最初は日本企業だけが参加していたが、近年は海外企業も加わり、ジャカルタ支店仲介のもと、インドネシア企業が今年初参加した。
2010年からは海外でも開催。同年は上海、今年に入って香港、シンガポールでも開いた。同銀ビジネスソリューショングループの松岡敬三次長は「グローバルなマッチングのニーズが高まっている」と語る。
■消費財企業が活発に
ジャカルタ支店の進出企業取引は、10―11年にかけて自動車関連が7割を占めたが、昨年末からは、食品、日用品などの消費財関連企業の進出取引が5割に上昇した。
同支店の松山安男副支店長は「中間層の消費に注目が集まっている。どう売るかに不安がある企業が多く、誰と組むのかが重要になる」と話す。
商談会に参加した食品企業担当者が気に掛けるのは、インドネシアの湿気の多さ。「品質は維持したい」と口をそろえ、包装技術の工夫に意気込んでいる。