「新しい家族できた」 津波被災のアチェ高校生 大槌町の住民と交流
2004年12月のスマトラ沖地震・津波の被災地アチェの高校生ら6人が今月12日から20日まで、東日本大震災の被災地の岩手県大槌町などを訪問した。アチェで災害孤児の支援を続けている日本の非営利団体(NPO)「良心、市民の会」(本部・京都)が、被災の経験を共有することで子どもたちに前へと進んでほしいと企画。大槌町で子どもたちは「新しい家族ができたようだ」との思いで交流を楽しんだ。(関口潤)
「良心、市民の会」による大槌町への訪問は昨年に続き2回目。今年は同会の奨学生で、津波で両親、兄弟の家族全員を亡くしたムハマッド・アマル・アザムさん(15)のほか、同会が設立したアチェの語学学校「晃月スクール」の卒業生5人が日本を訪問した。
大槌町では中学校を訪問して生徒と被災経験について語り合ったほか、公民館で仮設住宅に住む地域の女性とともに郷土料理の「しょうず団子」を作った。「遠く離れた国に孫ができたようだ」と語る女性らが「一人じゃないんだよ」と声を掛けると、被災者を励まそうと考えていた子どもたちから涙がこぼれた。
同伴した同会理事の加古川圭司さんによると、「過ぎ去ったことは終わったこととして考え、夢を持ち続けて前を向いて頑張ろう」と励ましのメッセージを伝えたいと思い、大槌町を訪れたムハマッドさんらも、「同じ思いをしている人たちがいる」と逆に励ましをもらったように感じていたという。
加古川さんは「アチェの子どもたちは明るく振る舞っているが、津波のことを思い出すとまだまだ涙が出てくるなど寂しい部分を持っている。そんな中で家族のような絆を感じることができ、いろいろなものを得ることができたと思う」と語った。
高校卒業まで援助する奨学金は、スマトラ沖地震・津波のにゼロ歳だった子にも支給している。その子たちが高校を卒業するまでは、確実に支援を続けていきたいとしている。