管理権限、右往左往 石油・ガス業界の行方は? BPミガス解体で

 今月中旬に出た憲法裁判所の違憲判決で、同法を根拠とする石油ガス上流事業監督機関のBPミガスが解体された。同機関は、1998年のスハルト政権崩壊後、石油・ガス分野の上流から下流までを独占的に管理していた国営プルタミナの業務を移管する形で2002年に発足。しかし、政権崩壊前後から、国際通貨基金(IMF)をはじめとする国際機関が石油・ガス市場の開放などを求めていたこともあり、近年の資源ナショナリズムの勃興とも相まって、BPミガスは「外国の傀儡(かいらい)」とする主張が一部から噴出。権限の奪回をもくろむプルタミナの一部勢力の動きもあり、石油・ガス事業の管理権限が右往左往している。

 違憲審査を起こしたのは、ムハマディアなどのイスラム社会団体9団体や、ナフダトゥール・ウラマ(NU)のハシム・ムザディ前議長、国立イスラム大のコマルディン・ヒダヤット学長、故アブドゥラフマン・ワヒド元大統領の弟サラフディン・ワヒド氏、ファフミ・イドリス元産業相、地方代表議会(DPD)のラオデ・イダ副議長、AMファトワ前国民協議会(MPR)副議長など42人・団体。
 BPミガスが外資にあまりにも有利な契約を結んでおり、契約をめぐる癒着が蔓延していると主張。憲法33条にある「天然資源は国家が管理する」に抵触するなどとして、違憲審査請求していた。
 憲法裁は13日、原告の主張の一部を認め、BPミガスの解体を命じた。同機関の管理下で結ばれたPSC(生産分与契約)が宙に浮く事態となったが、ユドヨノ大統領は翌14日に記者会見を開き、「現行の契約に基づいた業務は維持される」と説明。新法を制定するまでの暫定措置として、BPミガスの機能をエネルギー鉱物資源省所轄のタスクフォースに移管することなどを盛り込んだ大統領令を発令したと明らかにした。
 契約の不確実性への懸念も上がる中、ジェロ・ワチック・エネルギー相は16日、訪問中のバリ島で急きょ石油メジャーやプルタミナなどの幹部と会談。今後、政府とPSCを結んだ石油会社約200社とも会合を持つ方針で、事態の収拾に躍起になった。
 BPミガスに汚職疑惑が浮上していたのも今回の騒動の背景にある。汚職撲滅委員会(KPK)は2011年に152兆ルピアが不適切に処理された疑いがあるとして捜査を進め、会計検査院(BPK)も17億ドルの会計改ざんの可能性に言及した。
 解体により、BPミガスと企業との間で進められてきた13年―21年に満了する契約29件、開発計画20件の交渉が一時中断した。今後の権限保有者がどうなるのかは流動的。新機関を通じた交渉再開時に、政府側がこれまでより厳しい条件を投資家側に突き付けてくるとの観測も出ている。

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