新興国から学生を 第18回日本留学フェア 大学の活性化を図る

 インドネシア人学生の日本留学を促進しようと、第十八回日本留学フェア(主催・日本学生支援機構=JASSO、インドネシア元日本留学生協会=プルサダ、後援・在インドネシア日本大使館、在スラバヤ日本総領事館、共催・国際交流基金ジャカルタ日本文化センター)が八日に東ジャワ州スラバヤのシェラトン・ホテル・スラバヤで、九日に中央ジャカルタのジャカルタ・コンベンションセンター(JCC)で開催された。日本への留学生の約八割を中韓が占める中、新興国として注目を集めるインドネシアからも優秀な学生を募り、活性化を図ろうと、各教育機関が積極的に周知活動を展開した。
 フェアには国公立大五校、私立大十三校、一機関、日本語学校八校が参加し、八日は約千五百人、九日は約千六百人、合計で三千百人以上が来場した。開会式には数百人の学生たちも出席。会場がいっぱいになるなど関心の高さがうかがえた。
 各学校のブースにはパンフレットなど資料が並んだ。日本のどこにある学校なのかを示す地図や写真などを壁に掲げ、日本に行ったことのない学生にイメージが湧きやすいよう工夫を施した大学もあった。日本大使館やJASSOなど四機関も出展し、プレゼンテーションなどを通じて留学情報を提供した。
 約四十年にわたり、インドネシア大学をはじめとする留学生を多数受け入れてきた東北大のブースにも、多くの学生が質問に訪れた。同大大学院の森谷雄一講師は「インドネシア人留学生は中韓に次ぎ三番目に多い。まじめなため、研究室での受け入れの要望も強い」と話す。
 文部科学省が進める国際化拠点整備事業(G30)で、英語のみで学位取得が可能となった「拠点大学」は、日本語の壁がなくなったことを前面に出した。
 関西学院大学は拠点大学ではないが、独自に英語での履修コースを学部・大学院に設置。国際教育・協力センターの住岡尚樹さんは「このコースをアピールし、インドネシアなど各国から優秀な学生を集めたい」と話した。
 東京ワールド外語学院の鎌田一宣理事長は「多数派の中韓で少子化の兆しが見える中、より西へ西へと展開したい。日系企業の活動と日本語学校の留学生の出身地はリンクしている。日本の投資が増加したベトナムからの留学生が増えたように、今後インドネシア留学生が増えるだろう」と指摘した。
 来年九月の開校を目指し、準備中の沖縄科学技術大学院大学も出展。訪れた学生たちには「日本や米国から科学技術のトップクラスの教授陣を集める。一学年の学生は二十人に限定、少数精鋭で優れた研究者を育成する」とアピール。韓国に次ぐ学生誘致国となったインドネシアについて、学務部担当者は「日本留学に対する関心の高さを肌で感じている。まずは学校について知ってほしい」と手応えをつかんだ様子だった。
 各校担当者によると、東日本大震災の影響については、学生ではなく、保護者が質問する場合が多い。震災直後は学生が本国からの退去命令などで一時帰国するケースがあったが、学位取得中の学生は復帰しているという。
■留学経験者が伝える
 日本に留学するインドネシア人は二〇〇七年の千五百九十六人から毎年二百人のペースで増加し、一〇年には二千百九十人(JASSO調べ)に達したが、近隣諸国と比べてもまだ少ない。JASSOの樫尾孝理事は冒頭のあいさつで「インドネシアからもっと多くの学生を受け入れたい」と力を込めた。
 プルサダは今回から会場運営を手掛けた。元留学生や日本人関係者も多数駆け付け、日本留学の経験を伝えたり、学生らの疑問に応えた。
 ラフマット・ゴーベル会長は学生たちに「日本の語学学校で一年半、大学で四年半学んだことが、今の自分を支えている。みなさんにはどうして自分がほかの国ではなく、日本で勉強するのかを、しっかり考えてほしい」と語り掛け、大震災であらためて脚光を浴びた日本人の規律など、日本で学ぶことは多いと強調した。

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