【火焔樹】 お掃除クラブからの提案
ごみ拾いを続けているとごみの種類はペットボトル、紙コップ、発泡スチロールの弁当箱、プラスチックのスプーンなどが圧倒的に多いのが分かる。経済成長とともに増え始めた中間層と言われる人々の懐も潤い始め、彼らをターゲットに客の奪い合いをする食品、飲料メーカーの競争が垣間見れる。
こんな飲食品関係の容器には、もちろん日系企業のものも含まれている。お掃除クラブのメンバーからは「同じメーカーの物だけを集めて、メーカーさんに送り届けてあげればいい」などというアイデアも聞かれた。約1時間半の活動で米袋大のごみ袋がいくつにもなるペットボトルは商売繁盛を物語り何よりだが、作るほうもインドネシアの消費者の環境に対する意識レベルを考慮し、ただ売るだけではなく何かもう少し対策を講じることはできないだろうか。
「ごみはごみ箱へ」「ポイ捨てはやめよう」などの文言を容器に入れたり、「環境キャンペーン」「ごみを捨てない啓蒙活動」を頻繁に行う。「街の至る所へのごみ箱の設置」等々、考えればいくらでもあると思う。すでにリサイクル設備を工場に作り環境対策を積極的に行っているメーカーさんも一部にあるようだが、インドネシアの現状を考慮すればいくらやっても足りることはないはずだ。
ある日系企業の社長さんのコメント。「日本人が主体となって活動するお掃除クラブや一部の方々の本当に地道な活動こそが、弊社のような日系企業が当地において事業活動させて頂くことができる礎になっていることに改めまして敬意と感謝を申し上げたい」
こんな謙虚で真摯な気持ちが、日本のような一歩進んだ国が品質の良い物を提供することのみならず、先々のことを見据えて対応していくことで、異国の地で真の意味で受け入れられるようになり、名実ともに現地化が加速していくのでないか。
僭越(せんえつ)ながら、お掃除クラブからの提案とさせていただきたい。(ジャカルタお掃除クラブ代表・芦田洸)