福田元首相と会談 環境技術で日本視察 大手メディア15社
国営アンタラ通信、コンパス紙、テンポ誌、RCTIなど、インドネシアを代表する通信社、新聞、雑誌、テレビ局15社の編集長、編集局長ら総勢31人が25日から日本を訪問している。
インドネシアでも、ユドヨノ政権が気候変動問題への対応などに意欲を見せる中、最先端の環境技術への理解を深めようと、松下ゴーベル財団が招待。戦後賠償留学生で研究技術担当国務大臣などを歴任したズハル国家イノベーション委員会(KIN)委員長、財団のユスマン・シャフィイ・ジャマル会長(元運輸相)、財団の顧問を務めるラフマット・ゴーベル氏(パナソニック・ゴーベル・インドネシア社理事長)らも加わり、2年前に続く、メディア幹部を中心とした大型視察団となった。
兵庫県でパナソニック・グループが進める加西グリーンエナジーパークなどを視察した後、28日には、日本インドネシア協会会長の福田康夫元首相と昼食会を開催した。
ゴーベル氏は、各メディアの代表を紹介した後、「インドネシアが気候変動問題にどのように対処していくか、再生エネルギー分野ではどのような最新技術があるかなどについての理解を深めるのが目的」と説明。大手メディア55社の編集長らが今年7月に設立したメディア編集長フォーラムの代表を務めるテンポ誌のワフユ・ムルヤディ編集長は「太陽光パネルなどについて知識を深めた」と訪問の成果を紹介した。福田元首相は「日本は何十年も前から環境問題について考えてきている。エネルギーがないため資源を大事に使わなければならなかったからだ。それを続けていくと環境にやさしい社会ができる。インドネシアの場合、エネルギー資源がたくさんあり、言い方を換えれば、エネルギー資源がない日本と同様、不幸だとも言える。例えば、石油についても、石油をそのまま売るのではなく、プラスチックなど、より付加価値のあるものにしていくことが考える必要がある」と指摘。「そのような状況を理解してもらった上で、一緒に(環境問題などに)取り組んでいきたいと思っている」と呼び掛けた。
視察団は20日にジャカルタを出発し、日本入りに先駆け米国を訪問。ハーバード大学ロースクールとの間でアジアの司法改革に関する研究イニシアティブの設立に合意したほか、ワシントンの国際戦略研究所(CSIS)で気候問題への取り組みに関するワークショップを開いた。28日までに全日程を終え、29日に帰国の途につく。(東京で上野太郎、写真も)