天女の舞い、友好の絆 日イ舞踊家が披露 ジョクジャ・ジャパン・ウィーク
赤の着物で日本舞踊を踊った後、今度は華やかな金の羽織を被って舞台に姿を現し、仮面を付けたクバヤ(インドネシアの伝統衣装)の踊り手と優雅な舞いを披露する―。
日本とインドネシアの踊りが歩み寄る創作舞踊を披露したのは、日本舞踊家の蓮田愛さんとインドネシアを代表する舞踊家ディディック・ニニ・トウォックさん。古都ジョクジャカルタで5日に開かれたジョクジャ・ジャパン・ウィークの開幕式のハイライトだ。
テーマは「羽衣伝説」。天界から舞い降りた2人の天女が地上で出会い、絆を深めて天界に飛び立つ―。ジャワなどインドネシア各地に伝わる伝承と、日本の竹取物語が共通していることに着目し、2人は日イ友好を表現する舞いに仕立て上げた。
蓮田さんは2008年以降、インドネシア各地の大学などで日本舞踊を教える傍ら、バリやジャワ、ミナンカバウ(西スマトラ)の舞踊も学んできた。
ディディックさんは日本でインドネシアの舞踊を披露する一方、女形や能楽など幅広く日本の芸能を学び、日本の舞踊家との共演も多数行ってきた。
両国各地を回り、自国の踊りを披露しながら、地元の踊りを学んできた2人が出会ったのは10年。意気投合し、お互いに踊りを教え合うなどして交流を深めてきた。
今回の舞台について、蓮田さんは「コンセプトを事前に話し合っただけで、踊りはぶっつけ本番」と語る。日本から持ってきた音楽と、ジャワの楽士たちによる生演奏を交互に入れ、これに合わせて1人ずつ踊った後、2人が一緒に舞台に立つ。
最後に羽織をまとった天女と仮面を付けた天女が手を取り合って幕を閉じる。「地上で2人のかぐや姫が出会い、戯れあい、手を取り合って新しい世界に飛び立つ様子を表現したかった」とディディックさん。
蓮田さんは「背筋を伸ばした能のようなディディックさんの踊りに、すっと入っていけた。即興だからこそ表現できるものがあるのかもしれない。創作舞踊を通じ、言葉を越えてつながれるということを改めて実感した」と手応えを語った。