若手発掘へ、新たな挑戦 日イサッカー交流 日本人最長9年間プレー

 サッカーインドネシアプロリーグで、日本人としては最長の9年にわたりプレーした元プロサッカー選手の新たな挑戦。現役時に培った信頼や、人との繋がり。その感謝や想いを胸に、日イの未来ある若手選手とヨーロッパを繋ぐプロジェクトにこのジャカルタから挑戦する。

 2011年から20年まで、インドネシア1部のプロサッカーリーグ(Liga1)で9年間プレーした松永祥兵氏(34)が、新たな想いを胸にインドネシアに帰ってきた。松永氏のプロキャリアはドイツ・ブンデスリーグの強豪シャルケ04からスタート。その後、日本プロサッカーJ2リーグの愛媛FCでもプレーした。思うような結果が出せない中、選んだ新天地がここインドネシア。各地の5クラブ以上でプレーをしたが、その中でも2011年、17年に在籍したビッククラブのプルシブ・バンドンでの活躍が「転機となった」という。
 他クラブから条件の良いオファーもあったが、「お金では買えないファンサポーターの心や今後の繋がりなどを考えた」と当時を振り返る。この選択が功を奏し、18年には日本インドネシア国交樹立60周年の親善大使を務めた。これがきっかけで当地の日系企業や邦人との交流も増えた。「そのつながりに感謝したい」。松永氏は強調する。
 「9年間プレーさせてもらったインドネシアには、とても感謝している。しかし、自分は日本人。日イ、そしてヨーロッパとアジアの懸け橋になり、恩返しをしたい」と、今後のキャリアに目を向けた。
 20年に現役引退を発表し、同年、自身の会社を設立。コロナ禍でインドネシアへの渡航が難しい中、地元静岡で天然酵母飲料の販売や整骨院の経営を始めた。「現役時代の学びを身体の中と外から伝えられたら」。そんな思いを松永氏は事業に込めた。
 現在は、アジア発のマルチクラブオーナーシップを目指す事業会社ACA Football Partners Pte Ltd(ACAFP)のアジアアンバサダーとしても活動をサポートしている。具体的には、当地の協賛企業候補の紹介やACAFPが欧州で所有するクラブとインドネシアクラブの提携サポートなどを模索。実際に、インドネシアサッカー界の若手スター選手、マルセリーノ・フェルディナン氏(18)は、ACAFPが持つベルギー2部のKMSKデインズに今年2月から加入。代表チームでも結果を出しており、急成長を見せている。松永氏が共感したACAFPが掲げる「アジアの才能ある若い選手への機会提供拡大」というビジョンを体現していきたいと述べた。
 現在もインドネシアの街を歩けば、声をかけられる松永氏。「親善大使を任せてくれた方々や、プレー機会を与えてくれた日イの方々のおかげ。新たな活動も応援して頂けたら嬉しい」と、力強く語った。
 9年間プレーした経験や想いを胸に、日イの若者や未来のため、松永氏の新たな挑戦が始まった。(千葉健太、写真も)

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