日本の縁日を再現 屋台や踊り、神輿

 6月30日、7月1日の2日間にわたって開かれた「第3回ブロックM・リトル東京縁日祭」では、焼きそば、たこ焼き、かき氷などの屋台、法被(はっぴ)姿で踊りや神輿(みこし)担ぎを披露する人々など、日本の縁日さながらの風景が訪れた人々を引きつけた。2つのステージでは、コスプレ大会やラーメン早食い競争など、数多くのイベントが行われ、盛り上がりを見せた。

◇ポップカルチャーに熱狂 コスプレなどファン集結
 メインステージとは別に設置された第2ステージでは、Jポップダンスコンテスト、日本から招待されたかぶりものアイドルの「桃知みなみさん」のパフォーマンス、コスプレイベント、JKT48のコンサートといった日本のポップカルチャーが披露された。日本ファンのインドネシア人がブロックMに集った2日間は、ポップカルチャーを通じたインドネシアと日本のつながりを感じさせるものとなった。
 初日のJポップ・ダンスコンテストにはインドネシア人の若者だけでなく、邦人の混声合唱団「サザンクロス」の有志も参加。男女7人がチェック柄のミニスカートなどを着て、「JKT4.8」として踊りを披露した。リーダーの松村直人さんによると、大勢の人の前で踊るのは初めて。インドネシア人の求める記念撮影に応じながら「芸能人になった気分。日イ友好、相互理解のためにも、機会があれば今後も活動を続けていきたい」と語った。
 桃知さんは「日本のアニメイベントなどで流行っている最先端のアニメに関するポップカルチャーを伝えたい」と、2日にわたってパラパラなどを観客に紹介し、DJ演奏などを通じて会場を盛り上げた。
 注目は、8月に名古屋・大須で行われる世界コスプレサミットのインドネシア代表を賭けたイベント「インドネシア・コスプレ・グランド・プリックス(ICGP、後援・国際交流基金、日本大使館、日本貿易振興機構、特別協賛・ガルーダ航空)」、インドネシアのコスプレ全国大会「CLAS:H」のジャカルタ予選の2大コスプレイベント。いずれも、1組2―3人で、原作をもとに戦闘シーンなどを再現。暗くなった会場には、コスプレイヤーのパフォーマンスを収めようとする多数のデジタルカメラや携帯電話のバックライトが浮かび上がった。敵キャラが倒れる瞬間には拍手が湧き起こり、2千人を超える観衆が、コスプレイヤーが表現する世界に息を飲んだ。

◇活気あふれる屋台
 ちょうちんで飾られた会場には日本食レストラン、日本企業や日本人有志らが約100のブースを出店。縁日ならではのリンゴ飴やかき氷、射的ゲームやヨーヨー釣りなどの屋台が軒を連ねた。
 大阪の会が出店した「射的ゲーム」には威勢の良い客引きに誘われて多くの人が挑戦し、狙いを定めて対象物を射ようと奮闘した。大阪の会の眞鍋淳さんは「日本の縁日に触れる機会を提供できたらうれしい」と笑顔で語った。
 西ジャワ州バンドンのパジャジャラン大に留学中の京都産業大インドネシア語専修の学生3人は「イカ焼き」の屋台を出店した。来月、日本に帰国する前に、思い出を作ろうと出店を決意。額に汗をかきながらイカ焼き作りに精を出した。

◇私の街、きれいにしたい ジャカルタお掃除クラブ
 会社役員の芦田洸さんが立ち上げた「ジャカルタお掃除クラブ」は30、1の両日、縁日祭会場で清掃活動を行った。
 芦田さんはステージ上で来場者に掃除活動を紹介。活動では、メンバー約20人がビニール手袋を配布し、掃除を呼び掛けた。たばこの吸殻やペットボトル、食べ物のかす、通りのあちらこちらに落ちるごみ。活動に参加した人たちは炎天下、汗を流してごみを拾った。
 同クラブメンバーの一人で学校教員のサラさん(22)は「日本人が掃除しているのに、私たちジャカルタっ子が掃除しないのは恥ずかしい。私たちの街をきれいにしたい」と話した。
 活動を見ていた大学生のミルナさん(20)は「ごみ箱は設置されているのに、インドネシア人は習慣で捨ててしまう」と話し、メンバーのデシさん(24)に活動内容を尋ねていた。

◇泣き笑い つながる縁 阿波踊り体験ルポ
 「一緒に踊りましょう」―5月下旬、阿波踊りパレードを仕切る連長の北岡真由美さんから電話をもらった。踊りはからっきしだったし、徳島にゆかりもなかったが、「練習すれば誰でも楽しめますよ」と誘われ、運動不足解消も兼ね、参加を決めた。
 6月2日に初練習。スナヤンのブンカルノ競技場を訪れると、数十人のインドネシア人と数人の日本人が、場外の出入り口付近に集まっていた。「徳島出身ですか?」「私は鹿児島です」。未経験者も多数いて、少しほっとした。
 心強かったのは、徳島出身者や経験者の存在。「手を上げて足を運べば阿波踊り」とは言うものの、中腰はきついし、ロボットのように動きは堅くなるし‥。苦労しながらも「うまーなったでぇ」と励まされ、踊る楽しさのとりこになっていった。
 驚いたのがインドネシア人たちの踊りのしなやかさだ。ほとんどがエイサーやよさこいなどの経験者。北岡連長は指導で「ちゃう(違う)!」を連発。練習を重ねるごとに踊りは洗練されていった。「ひょうたんばかりが浮き物か」。日本語で掛ける女踊りの囃子(はやし)ことばは、艶やさを増していった。
 本番の30日。法被に袖を通し、ねじり鉢巻きをし、うちわを手に取った。女性の踊り子は浴衣を着付け、編み笠を被った。本番数分前。通りは来場客でごった返し、「声だけは出そう」と、空に向かってメンバーとなんべんも叫んだ。「アヤットサー!!」
 太鼓の音で始まる囃子がスピーカーから流れ、本番が始まった。「右、左、右、左」。最初はリズムを合わせようと、メンバーの足下ばかりを見ていた。しかし、老若男女の温かい眼差しと歓声を浴び、「前を向こう」と開き直った。
 ぎゅうぎゅう詰めのメインステージ前。演舞場は狭まり、当初の編制は想定外の変更が続いた。しかし、日本語劇団「en塾」の踊り子の一糸乱れぬかけ声が安定感を与え、30分弱の本番は大きな失敗もなく、あっという間に終わった。
 盆踊り経験の長い家弓重正さんの法被とちょうちんは、紅白の2色だった。「両国の国旗の色ですね」と日イの踊り子たちは笑った。演舞を終え、成功を喜び、涙ぐんだ。徳島県と他県の出身者、インドネシア人らが参加した阿波踊り。異国での縁をつなげた。
 「踊ってみんと、この楽しさはわからん」。本番を終え、自然と徳島弁が口に出た。

◇一般客も飛び入り参加
 両日行われた阿波踊りパレードは縁日祭で初開催。日本人とインドネシア人ら約130人が参加した。
 縁日祭のために徳島の有名連に頼んで用意したお囃子(はやし)の音楽に合わせ、約30分演舞。2日目には、日本人とインドネシア人の一般客ら約20人がパレードに飛び入り参加した。
 連長の北岡真由美さん(31)は「初めての試みで何もかも大変でしたが、実現できて良かった」、男踊りを指導した森本早紀さん(24)は「ジャカルタでインドネシアの人や徳島の人、他県の人と踊れて幸せ」と振り返った。
 今回パレードに参加した阿波踊り連の一つ「キラキラたぬき連」はメンバーを随時募集中。問い合わせは北岡さん(minminrose518@hotmail.co.jp)まで。

◇JKT48に大歓声
 昨年末に結成したアイドルグループ「JKT48」は、縁日祭に初出演。数千人の観衆が大きな声援を送る中、16人が出演し3曲を披露した。
 MCでは、日イの友好関係についてそれぞれのメンバーがコメント。最年長メンバーで、センターを務めるメロディーさんは、日本政府がインドネシアの渋滞改善を支援していることについて触れ、日イ友好の進展に期待を示した。

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