ジャワから漂着、大量のごみ 大トカゲがすむ無人島 ジャカルタ沖のブルン島
ジャカルタ北部沖、プラウスリブにある直径1キロにも満たないほどの無人のブルン島。体長1メートル以上にもなる大トカゲ(ビアワック)が生息していると聞いて入ると、ジャワ島から漂着した大量のごみが島を覆っていた。ごみは島の生態系や漁にも悪影響を与えている。
船着き場から内部に入ると1970年代に建設されたといういくつかのヴィラとコテージがあった。しかし、荒れ放題で98年に所有者が訪れた後は誰も使用していないという。
島の西側、マングローブや他の木々が生い茂るエリアに入ると、ビニール袋、サンダル、発砲スチロール、ビンなど人口色のごみで溢れかえっている。特にジャワ島がある南の海岸にはごみの山ができていた。ごみに足を沈ませながら案内してくれた漁師のサムスディンさん(38)の足ではどこからか流れ出た油がオレンジ色に光っていた。
サムスディンさんによると、子どものころ、ブルン島に初めて来た時からごみが多く漂着しており、現在も増え続けている。ほとんどがジャワ島から来たものだという。
狭い島内を2時間ほどビアワックを探したが、夜行性ということもあって、確認できたのは森の中を走る気配と砂地に残る尾の跡だけだった。ビアワックの個体数は1980年代には100匹だったのが現在では20ー30匹に激減してしまった。その大きな原因が大量のごみだとサムスディンさんは分析する。
ごみは漁にも悪影響を及ぼす。漂うごみがスクリューに絡まって停止したり、投網にひっかかって時には破れることもあるという。サムスディンさんが住むブルン島から船で約15分のパリ島の漁師たちは捕れた魚などをジャカルタのムアラ・アンケ港などに卸している。サムスディンさんに同行した西ジャワ州デポック在住のアスラハ・ヤフヤさん(29)は、海岸だけでなく島内も埋め尽くすごみに驚いたと言い、「ジャワ島に住む人はこの事実を知るべきだ」と力を込める。
サムスディンさんは「捨てたごみが海や生き物を汚し、それがまたジャワ島に住む人たちの口に入っている」と警鐘を鳴らした。(堀之内健史、写真も)