熱い想いを双方向で 裏千家淡交会 年初の初釜開催
茶道を通じ、日イ間で文化交流の架け橋を担う「裏千家淡交会インドネシア協会」が14日、北ジャカルタのモール内にある稽古場で年明けの茶会「初釜」を開催した。コロナ禍で活動を制限してきたが、サウール・マルリ・ポハン会長は「再び交流が動き出し、喜ばしい」と述べ、日本文化をインドネシアに伝え続ける大切さを訴えた。
初釜には、茶道を学ぶインドネシア人と活動に参加する在留邦人を合わせ約15人が参加。在インドネシア日本大使館から参加した若林孝広広報文化部長らにお茶を振る舞った。
また、裏千家で上級資格を持つ「教授者」による年頭あいさつを受け、会員が「今年も稽古に精進していこう」と誓った。ポハン会長はコロナ禍で会員数が減る中、「今年は盛り上がる活動になるといい」と期待感を示した。
同協会は、インドネシア人男性と結婚した日本人女性の集まりから始まり、1987年に裏本家本部が同好会の設立を承認。95年に裏千家インドネシア支部に昇格され、「茶道の本質を究める」修行の場として活動してきた。
家元の組織改正にともなって2003年、現在の名称に変更。この間にインドネシア社会ではユドヨノ大統領夫妻(当時)の元で茶会を開催、またカリバタ英雄墓地での献茶も実現した。邦人社会ではジャカルタ日本祭り(JJM)への参加や国際交流基金ジャカルタ日本文化センターで講習会を定期開催するなど、日イ文化交流の中核的な存在となった。
だが、最盛期には50人を超えた会員は、コロナ禍で多くの邦人会員が帰国して大幅に減った。初釜で茶事を主催する「亭主」の補佐を務めた「半東」のメリヤニさんは、茶道の意義を「心の平穏が美味しいお茶をたてる気持ちよさ」と語るが、こうした日本文化に寄せる熱い思いを双方向で育てる関係作りが求められている。(長谷川周人)