残留日本兵資料館、始動 ソフトオープニング 福祉友の会
独立戦争を戦った元残留日本兵の子孫による組織「福祉友の会」は14日、設立から43周年を迎えたこの日、南ジャカルタ・テベットの同会事務所ビルで日本兵たちの軌跡を記録する「残留日本兵資料館」をソフトオープニングさせた。今後は同会が保存する手記や写真などのデジタル資料を整え、日イ国交樹立65周年となる来年、正式オープンさせて次世代の情報交換の場として機能させる。
新しく生まれ変わった同会事務所は、1階がカフェ、2階が元日本兵たちのデジタル資料を紹介する歴史ギャラリーとなった。3階は会議室や多目的フロアだが、将来的には3世たちの情報交換の拠点として利用する。
この日のセレモニーには、内外から関係者を中心に70人以上が参加。日本からは福祉友の会の活動に助力した小倉みゑさんの息子である吉田光伸氏、800人を超えるインドネシア人留学生に奨学金を給付してきた橋谷奨学会の塩谷隆則常務理事などが席を連ねた。
福祉友の会会長で2世のヘル・サントソ衛藤氏はあいさつの冒頭、銃撃されて死去した安倍晋三元首相に黙祷を捧げた。その上で「1世が築いてくれたイ日友好の礎や育んできた信頼を未来へ繋がなければならない。今後も日イ友好を促進させるため両国の架け橋となる」と述べた。
在インドネシア日本大使館の田村政美次席公使は、「今の日イ友好があるのは元残留日本兵の方々の貢献のおかげ。わずか3年でソフトオープニングにこぎつけた福祉友の会の皆さまの熱意に感謝する」とし、資料館オープンを歓迎した。
会場では、元残留日本兵たちが眠るカリバタ英雄墓地(南ジャカルタ)の紹介に続き、歌手の加藤ひろあき氏による『ルアン・リンドゥ』『テリマカシ』が披露された。
セレモニー終了後、じゃかるた新聞の取材に3世のマリオ・アンドロエッティ・黒岩氏は「この場所をイ日の友情の象徴であり、始点となる情報センターにしたい。その先では教育・ビジネス・慈善活動といった分野で3世、4世と日系日本企業・組織とのパートナーシップ確立を目指している」と意欲を見せた。