近づくレバランの足音 帰省見送る市民も 高まるラマダン需要

 レバラン(断食月明けの大祭)まで1週間を切った26日、中央ジャカルタのアグス・サリム(通称サバン)通りでは多くの市民がこの日の断食明けの食事を求め、コロナ禍で忘れかけていた活気が戻っていた。東南アジア最大級の繊維市場、タナアバン市場にも、レバランに向けて服を新調しようと押し寄せる市民。規制緩和が進む中、待ちに待ったレバランの足音が街に響き始めたようだ。

 揚げ鶏に野菜と米を添えた料理「プチェル・アヤム」をサバン通りで販売するデデ(33)さんは「昨年から賑わいが少しずつ戻り始めていたが、今年はコロナ禍前と同じくらい賑わっている」と話す。
 国内では食用油の販売価格が高騰しており、市民や商人の生活を圧迫している。これを受け、デデさんはこれまで2万5千ルピアで販売していたプチェル・アヤムの販売価格を3万ルピアに引き上げた。
 しかし、デデさんは「売り上げは上々。過去2年間、売り上げが芳しくなく、ムディック(帰省)ができなかった。しかし、今年は故郷である、中部ジャワ州バンジャルヌガラに帰省できるほど稼げた。両親に孫の顔を見せてあげられる」と笑顔を見せた。
 サバン通りで断食明けの食事を買いに来た、保健会社に勤めるサラさん(28)は「とても賑やか。昨年のラマダン(断食月)では仕事を終えた後、すぐに帰宅、一人でブカプアサ(断食明け)をしていた。今年は、仕事仲間と一緒に断食明けの食事を楽しんでいる」と語る。コロナ禍前と同じラマダンを過ごしているようだ。
 また、国内のイスラム教徒はレバランに向け、服を新調する文化がある。この〝ラマダン特需〟で服の需要が増加、タナアバン市場周辺では交通渋滞が発生しており、市場は身動き一つとれないほどの人が押し寄せている。
 タナアバン市場で服を販売するリニさん(45)は「人出が戻ってきたのはつい2〜3週間前」と振り返る。ただ、昨年は1日10万人もの人が密集しジャカルタ特別州政府は最寄り駅を封鎖した。このためリニさんは「昨年のラマダンでは最寄り駅が一時閉鎖されたこともあった。今年は昨年のようにならないことを願う」と不安もあるようだ。
 政府によると、今年のレバランでは国民約8500万人が帰省をすると試算しているが、リニさんは「子どもだけを帰省させる。過去2年間の稼ぎが少なかったため、これを機に商売に集中したい」という。ラマダン特需による恩恵を受けるため、帰省を見送る市民もいるようだ。(センディ・ラマ、長田陸)

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