【新生活特集】笑顔が戻ってきた JJS 在校生が倍増
コロナ禍となって3度目の新学期を迎えたジャカルタ日本人学校(JJS、バンテン州南タンゲラン)。帰国者が相次ぎ、在校生徒数が約220人にまで減った昨年度の新学期だが、今年度は2倍以上の約470人でスタート。大学キャンパスと見紛う整った設備を誇るJJSに、子どもたちの笑顔が戻ってきた。
■コロナ禍での授業は?
日本人学校の特色や新型コロナウイルス禍で始まった家庭学習で意識することなどを聞いたのは、JJS小学部教務主任の山本政孝教諭と中学部教務主任の森迪直教諭。
感染拡大にブレーキがかかる中でも、マスク着用、手洗いうがい、机の間隔を広めにとる社会的距離の確保、私物の貸し借りを避けるといった保健プロトコルを徹底しているという。
授業は地元政府から通達がない限り、対面授業を実施。新型コロナの感染状況を見ながら、オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド授業やオンライン授業を行うという。
また、JJSでは日本の文科省による「GIGAスクール構想(児童生徒1人に端末1台と高速ネットワークを整備する計画)」や新型コロナ感染対策を踏まえ、子どもたちにパソコンを貸し出している。児童生徒がジャカルタに戻り始める中、パソコンの追加手配を進めているという。最新の機材を使い、日本と同水準の教育を受けることが可能だ。
一方、制限が設けられる授業もある。マスクを付けたまま行うのが難しい体育と音楽の一部授業。ただし、昨年に続きマスクを外さなくてもできる授業や活動を導入することで補填していくという。
■学校行事は?
国内では新型コロナのワクチン接種が進み、政府は規制緩和措置を拡大させている。
これに合わせてJJSでは約2年ぶりにJJSフェスティバルや小学部修学旅行などが実現するなど、学校行事は徐々にコロナ前に近づいている。
その一方、オンラインではお笑い芸人、ジャングルポケットの太田博久氏によるオンライン公開授業の実施。茨城県近代美術館と連携し、オンライン美術鑑賞会も行なった。コロナ禍ならではの工夫を懲らした授業も行なっている。
今後、コロナ禍前は学期ごとに行っていた授業参観の再開も検討している。森教諭は「一度も校舎に入ったことがない保護者もいる。子どもたちが最新のICT機器を使って勉強をしている様子。ぜひ、昔の授業との違いを見比べてほしい」と語った。
■家庭学習に一言
コロナ禍前に比べてパソコンやゲームなどに興じる時間が増えてしまう。山本教諭は「勉強の時間は保護者も電子機器から離れて読書をするなど、一緒に制限することも大切になる」と指摘する。
森教諭はまた、「目標をもつことが大切だ」と強調。コロナ禍だからこそ、何ができるかを考える事が大切で、今後も子どもたちと教諭たちで学習環境を作り上げていきたいと意気込んだ。
■在外教育の特徴
JJSでは日本各地からやって来た子どもたちが同じ学び舎で勉強をする。駐在員の子弟が多いJJSでは、在校期間は3~5年と常に入れ代わりがある。森教諭は「新入生はもとからでき上がった環境に入るわけではない。そして子どもたちはお互いにさまざまな情報や価値観を共有できる」と力説する。
■保護者へのメッセージ
森教諭は「学力面で心配される保護者もいると思うが、JJSでは学習計画を随時見直している。文科省の基準を満たした日本の教育が受けられる。また、英語の授業では手厚い指導が受けられるほか、インドネシア語の授業もある。コロナで不安もあると思うが、感染対策は学校一丸となって取り組んでいく」と話した。
一方、山本教諭は「長時間イスに座ること、コロナ禍で子どもたちの体力が落ちたこと。これらをいきなりすべて元に戻すと事故につながる。体育の授業の再開、人と話す機会を増やすなど、段階的にコロナ禍前の状態に移行させたい」と締め括った。(長田陸)