従業員の評価など調査 アンケート結果報告 JJC
ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)はこのほど、国内における人材育成の貢献や課題についてアンケート調査の結果を発表した。インドネシア人従業員の評価、離職率と引き留め策、入社前に学校で身につけてほしい能力など各企業の現場の声を浮き彫りにした。
アンケートはオンラインで昨年11月19日~12月17日に実施。160社から回答を得た。業種は自動車、化学品合樹、機械、運輸、生活用品など全15種に分けられた。
■従業員の評価
インドネシア人従業員に対する満足度を10段階で評価。現場作業員、事務職、マネージメント層に分けて評価が行われた。
現場作業員の平均満足度は6・57だった。高いコミュニケーション能力や指示・ルールを守るといった長所がある一方、報告の有無や仕事の速度について指摘があった。
事務職の平均満足度は6・89で現場作業員と同様、コミュニケーション能力が長所に挙がり、語学力も評価された。ただ、大卒の従業員でも数学力、論理的思考力、説明能力の低さを指摘する声も。「有名大学卒で語学力が高くても基礎学力が不足している」とのコメントもあった。
マネージメント層の平均満足度は6・76。柔軟性がある、人が良い、忍耐強い、管理能力が高いといった点が強みとして評価された。一方、業務に対する「待ち」の姿勢が目立ち、リーダーシップの底上げを課題に挙げる企業が多くみられた。
■離職率・引き留め策
優秀な人材を待遇面で優遇する企業が多かったが、他社から好条件で引き抜きがあれば、慰留には限界があるとした。自動車業界からは「若干の給与引き上げは考えるが、2倍程度になると全体バランスがあるので難しい」と指摘。日系企業からの引き抜きはあまりないが、欧州系企業からのスカウトがあるという。
待遇面以外の福利厚生では、小旅行やランチ会などのイベント開催、研修制度の充実を図る企業もあるようだ。
■入社前に学校で身につけてほしい能力
アンケート回答企業の78%が、入社前に身につけてほしい能力に「規則厳守」を挙げた。また、社会性・数学・技術教育の改善に関する要望も多かった。
金融業界からは「クリティカルシンキングや論理的思考力の不足」、機械業界は「道徳教育の強化」への注力を求める声が挙がった。
■政府への要望
各企業で対応が難しい基礎教育の改善を求める意見が挙がった。また、法律の明文化から施行されるまでのタイムリードが短い点や、邦人社員の人数制限など法律面での懸念点もあった。
■日本政府への要望
インドネシアの人材を日本へ派遣・研修するための支援を求める声が多く、勢いを増す中国や韓国の企業を前に日本の存在感の埋没を懸念する企業もあった。
(長田陸)