日本のODA信頼低下を懸念 歯痒い思いを語る 折下定夫さん

 日本の政府開発援助(ODA)の支援を受けたジャカルタ漁港。40年以上にわたり、その開発プロジェクトのコンサルタントを担当した折下定夫さん(74)は昨年8月、個人で令和3年度外務大臣表彰を受賞。帰任した日本から寄せる漁港への思いを聞いた。               

 じゃかるた新聞のリモート取材に応じた折下さんは、冠水で機能不全に陥っていた漁港の機能を取り戻すリハビリ事業を終えた2012年以降も、プライベートでインドネシアを訪れ、漁港の職員に対しアドバイスを行っていた。また、漁港見学に訪れるジャカルタ日本人学校(JJS、バンテン州南タンゲラン市)の児童や在留邦人を案内、解説をしてきたという。
 コロナ禍となってからはインドネシアに渡航できなくなったが、折下さんは「地盤沈下の問題がいまだ深刻である」とし、漁港のその後が気が気でならない。
 ジャカルタ漁港では地盤沈下による影響で漁港の関連施設が沈下。嵩上げ工事を行ったが、地下水を汲み上げる企業が点在し、問題の根本解決にいたっていないという。
 「十数年前と比較し、国内の教育レベルは向上している。ただし、トータルのマネージメント能力がまだ低い。港長が地下水を汲み上げる企業の操業を停止させる〝レッドカード〟を出すなど、メリハリのある運営管理を行う必要がある」
 折下さんは地盤沈下の対策などに関する現地指導を希望しているが、来イが叶わず、歯痒い思いをしている。「沈下が進み、再び漁港が機能しなくなれば日本のODAはずさんと評価されかねない」と懸念する。
 漁港運営は主に海洋水産省の管轄下だが、折下さんは健全化には民営化が重要と考える。コンサルタントができる後継者も必要で、「インドネシアに精通してる人、(漁港に)愛着を持っている人に引き継いで欲しい」としながらも、その一方で「もう日本からの支援は受けず、自立してほしい」と〝親心〟を垣間見せた。
 ジャカルタ漁港の設計・建設プロジェクトは1970年代から始まり、リハビリ事業も行われた。防波堤、冷凍設備、汚水処理場などの漁港インフラ整備が実施されてきた。
(長田陸)

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