校庭の土で土器作り 小学部6年卒業制作 チカラン日本人学校

 日本人学校はまもなく卒業式シーズンを迎える。そんな中、チカラン日本人学校(CJS、西ジャワ州ブカシ県)で13日、校庭の土を使い、土器作りが行われた。土器作りは、2021年4月に赴任した茂泉和浩校長の発案。CJS小学部6年生の卒業前最後の制作活動となる。

 「校庭の土は粘土質のため、土器が作れるのではないか」。21年夏、校庭の土を耕している時に茂泉校長は思い立った。
 約半年後となる13日、ついに土器作りが実現した。土器の作り方は粘土をひもの形にし、輪っか状に積み上げていく「輪積み」を採用。縄文土器と同じ作り方となる。
 小学部6年の坂口恵大さんは、「縄文土器は粘土に筒を刺してくり抜いて作るのかと思った」と話した。完成した土器を使ってラーメンを食べたいそうだ。
 原料となる粘土は、茂泉校長自らが校庭の土を乾燥させ、ざるで濾し、濾した土と水を混ぜて作った。「時間の経過とともに粘土が乾燥してしまう」。同じく小学部6年の堀田茜さんは土器作りの難しさを実感するも、楽しそうに制作に励む。
 今回の土器作りについて、茂泉校長は「粘土質なチカランの土を使って土器を作る。まさにインドネシアと日本文化の融合であり、CJSにしかできないことだ」と語る。
 制作した土器は約1カ月間、校舎内で乾燥させ、3月に窯焼きではなく野焼きを行う。野焼きは地面をあらかじめ空焼きし、そこに土器を並べる。徐々に温度を上げながら3時間ほど焼く。今後は野焼きをするための許可取得と燃料となる木材の調達が課題になるという。
 「子どもの発想力は大人とは違い、柔軟で豊かだ。初めは紙にデザインを書かせていたが、土器を作っていく中で思いついたものを取り入れていく。忠実に再現しようといったことにとらわれず、実践できるのは子どもならではと思った」と茂泉校長は振り返る。
 英語やインドネシア語のバイリンガル教育などに力を入れてきたCJSだが、茂泉校長は「日本文化の教育にも力を入れる。CJSにしかできないこと、これから先も残せるものを取り入れていきたい」と意気込む。(長田陸、写真も)

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