「軍備の近代化急ぐ」 国軍記念日で大統領 地域の安全保障へ貢献

 インドネシア国軍は創立67周年にあたる5日、東ジャカルタのハリム空軍基地で記念式典を開いた。閲兵したユドヨノ大統領は外交を紛争回避手段の一義的手段としつつも、国防体制強化のため、老朽化した軍備の近代化を急ぐ考えを示した。(道下健弘)
 
 大統領は演説で、「広大な島しょ国の主権を維持するため、25年先でも使える装備を整えたい」と説明。一方で「地域の軍拡競争を煽る意図は全くない」として、多元外交を国防の基礎に据えることを強調した。
 式典では、3軍の計6千人の兵士が会場を行進。上空からは約700人の落下傘部隊が降下し、招かれた各国の駐在武官らに錬度の高さをアピールした。ヘリコプター5機編隊による展示飛行や、プロペラ練習機6機の飛行チームによるアクロバット飛行も披露した。
 装備の近代化はユドヨノ政権が「最少必須戦力」の構築を掲げて取り組む課題の一つで、09年8月には、数年以内に国防予算を100兆ルピア規模にする考えを表明。13年同予算案は今年を6.6.%上回る77兆7千億ルピアを計上している。
 マラッカ、スンダ、ロンボクの各海峡など、国際海上交通の要所となる海域を抱えるインドネシア。近代化を急ぐ背景には、域内大国としての存在感と自信を強める中、海上輸送路(シーレーン)を中心とした地域安全保障に貢献する姿勢を示す狙いがあるとみられている。創軍以来、反政府武装勢力の脅威など、安全保障の関心は国内の治安問題に向けられていたが、東ティモールの独立やアチェ和平が達成さたことも転機になった。
 実際、兵員ベースでは3軍中75%超と、突出して高い比率を占める陸軍に対し、兵員・装備面で特に見劣りする海、空軍の近代化を図る動きが目立つ。昨年末には韓国から1400トン級潜水艦3隻の購入することで合意した。
 航空兵力も米国のF16、ロシアのスホイSu27、同30の各戦闘機など、世界的にみても第一線級兵力を拡充。先月には、攻撃ヘリのアパッチ8機を米国から購入する計画も明らかにされた。韓国と共同で戦闘機開発も進めている。
 陸軍もドイツのレオパード2A6主力戦車100両の購入で同国と契約するなど増強を図っている。

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